子どもを誰ひとり見捨てない
温もりのあふれる社会に
-「子どもの貧困」の実態と支援体制を考える-
目次
4 基調講演に関する質疑応答
4 基調講演に関する質疑応答
質問: 行政からの支援は簡単には得られないのではないですか。群馬のことを考えると心配です。
- 白鳥: 埼玉県の社会福祉課に「反貧困」「生活保護」について非常に頑張っている大山さんという有名な方がいました。一つのきっかけになったと思います。もう一つは、埼玉県の福祉部として、なにか「有効な政策を打ち上げたい」という思いがあったと思います。ケースワーカーの人と連携できたこと、そして、現場で苦労した、資格のある人が関わったのがうまくいった理由の一つです。老人福祉施設を使ったのもよかった。現在では、上田知事の目玉の一つになっています。今年、生活困窮者自立支援法ができました。任意事業ですが、国から半額の補助が出ます。埼玉県では39の市の内38の市で実施しています。群馬でもやっている、あるいは企画している市があると思います。子ども貧困対策法という法律もあり、行政としては取り組まなければならない状況になっています。
- 質問: 家庭訪問を必要とする子どもたちをどのようにしてつかんで、対応していますか。
- 白鳥: 生活保護世帯に最初に案内するのはケースワーカーさんです。ケースワーカーさんがいろいろ調べ、説明し、生活保護世帯から同意書を提出してもらいます。本当は必要だけれども、その世帯の状況から、同意書がもらえない場合もかなりあります。次に、ケースワーカーさんと我々で家庭訪問をします。今年からは、準要保護ということで就学援助も、教育委員会を通じてということですが、行われることになり、幅が広がります。
- 質問: 愛着障害の問題とか、学習以外でもちこまれる相談とかが多々あるかと思うが、そこら辺はどのように対応していますか。
- 白鳥: 一人で背負わないでチームとして接するようにしています。窓口は一人だとしても、必ず何人かのチームで相談しながら対処しています。一人の子どもに複数の大人が様々な形で関わっていくことが大切だと思っています。大学生のボランティアについては勉強のみで勝負してくれと言っています。余計なことは一切やらないように、相談事は聞いてもいいけれども全部こちらに回すように言っています。
- 質問: 何名ぐらいで白鳥さんの団体は事業にあたっていますか。
- 白鳥: 70人です。全県に6つのセンターがあり、1カ所10名余ということになります。
- 質問: 白鳥先生自身のストレスの解消法はありますか。
- 白鳥: 子どもと自然体で対応するために、体と心を健康にしておくことは本当に大切です。私を癒やしてくれる子どもが必ずいるのです。そういう子どもたちと「会話」をすることで癒やされます。また、そういう子どもたちを作っておくのです。これは生き抜くための「知恵」です。
- 質問: 白鳥さんをかくも突き動かしている原体験・原点は何なのでしょうか。
- 白鳥: 私自身が貧困の家庭の中で育ちました。人間としての生活の差が大きいことに憤りを感じました。困っている人に「おせっかい」をする私の母の姿から学んだこともあると思います。幼少期・成長期に互いに支え合うことの「快感」を味わせることが何よりも大切だと思います。