パートナー通信 No.45

ICS訪問(1)|ICS訪問(2)|寄稿

Spring School で「こどものけんりカルタ」母国語訳

 春の到来を感じさせる穏やかな3月31日の午後、大浦、小林、石橋、飯塚、加藤の5人の世話人でICSを訪れました。春休み中のSpring Schoolで、楽しい活動の1つとして「群馬子どもの権利委員会デー」にしていただきました。
 玄関を入ると、元気に動き回る子どもたちのポルトガル語、スペイン語、英語、日本語が飛び交っていました。5歳から17歳までのみんな外国籍の子どもたちです。
 少し早めに到着した加藤が「群馬子どもの権利委員会の活動」について子どもたちへの説明を求められました。通訳をしてくれる先生が付いてくれましたが、小さな子どもたちもいるので分かりやすく話せるか、私の日本語の力がさっそく試されます。大きく頷いたり、にこっと笑ったり、わからないなー、と一言一言に反応が返って来て励まされました。こんな教室は本当に久しぶりの体験でした。

 最初のアクティビティーは「こどものけんりカルタ」の母国語訳です。「読み札」の日本語は比較的易しいので、子どもたちはたちまち母国語版読み札を作ってしまいました。たとえば、

“Play, play, play hard.
Play is children’s energy." (英語)
「あそべ、あそべ あそびはこどものエネルギー」
“Tenemos el derecho de expresarnos ya sea
Por medio de dibujos, canciones,
y bailables." (スペイン語)
「絵、うた、おどり アピールできる じぶんのきもち」など。ペアで順番に日本語と母国語の両方を大きな声で発表すると、「うん、わかる、わかる!」という顔が教室いっぱいに広がりました。カイラン先生から「各国語版"こどものけんりカルタ"を作る計画があります」というお話でした。
 "翻訳家へのお勉強"のあとは、みんなで輪になってカルタ取りです。さすがに日本語に慣れているお兄ちゃんお姉ちゃんがたくさん取ってしまって、小さい子たちはちょっと悔しそうな表情でした。

“うんこ"の詩でたちまちチルドレンズ・ワールドに

 2つ目は飯塚祥則さんの「読み聞かせ」。『田中の家に犬がくる』を取り出した飯塚さん、何から読み始めるかなと、私たちも興味津々。
 "うんこふんじゃった"の一言で、目を丸くしたり、恥ずかしそうに下を向いたり、キャッキャッと笑い声をあげたり、でも子どもたちの耳は飯塚さんの次の言葉に向けて見事な集中力。
 "…うんこがあったら またいでいます。"で終わったときには、子どもたちはもうみんな飯塚さんと詩を書いたさとし君が大好きになっていました。"弟とけんかをした"、"学こうはムカツく"、そして"死体ごっこをしたこと"など、飯塚さんの口を通って次々にでてくる言葉は、「子ども同士」の共感で心地よく結ばれていきました。<残念ですが、ここでは詩の全文を紹介できません。まだ読んだことのない方、ぜひ『田中の家に犬がくる』(本の泉社)をご覧下さい。>
 ふと目に止まった書棚には英語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、タガログ語、ウルドゥー語、中国語などの本がずらり。
 友達の日常語から、もっと広く、深い世界への旅が始められる素敵な図書室でもあります。

みんなで手をつないでシビレました!

 3つ目のアクティビティーは石橋峯生さんの体験理科教室。石橋さんの「宝の箱」から出てきたものは、なんだかみんなガラクタ?フリーマーケットよろしく机に並べたところで、
“電気って、どこから来る?"
の問いかけにすかざず
“コンセント!""静電気!"
と大きな声。
“じゃあ、電線にとまっている鳥はどうして感電しない?"
“???・・・"
 机の上にアルミフォイルを広げて、両端に電線を繋いで、"さあ、触ってごらん!"恐る恐る指先を出してみる子、思い切り手のひらをつけてみる子、でも、なんともありません。
 "アルミを破って離してみるよ。"今度はたいへん!ビリッと電気の存在をしっかり体験。でもこちらの方が希望者続出でした。"それじゃあ、みんな手をつないで輪になって!両端の人に電気をつなぎますよ!""キャッ!"驚いて手を離した瞬間に電気はどこへ?「回路ができないと電気は流れない」ことの"体感実験"。でも、石橋さんが用意した変圧器のおかげで命には別状ありませんでした。
 石橋さんが広げたのは大小のさまざまな形の発電器。先端に発光ダイオード付。"磁石を回すとNとSが銅線中の電気を押したり引いたりします。その回数が50サイクルと60サイクルです。"
 そこへ「エネルギーのことやいろいろな発電方式の写真がいっぱいの」スケッチブックを持ってルジネテ先生が登場。原発事故がまだ収まっていない不安の中で、エネルギーや電気のことを勉強しようと予定していたのです!日本語とポルトガル語のコラボによる理科の授業が思いもかけず実現してしまいました。

(文責:加藤彰男)

4月6日の勉強を写真で紹介

午後の授業は、今年の統一テーマ『種』


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