パートナー通信 No.46
第2部
「わたしの思い話します 子どもも大人も」
第2部企画が生まれるまで
2011年度群馬子どもの権利委員会定期総会について、特に第2部をどのような形でとり行うのかを考えていた時、1年前の定期総会でご講演いただいた「こはるでよかった」のお話がきのうの事のように思い出されました。参加いただいた多くの方々が熱い涙と共に感動を確かめ合い、その共感はもっと確実な形で横につながりたいという思いにかられたのです。
特に前橋市勝山小学校読みきかせの会のメンバーは、講師の飯塚祥則先生を自分達の会にお呼びして、もっとたくさん、もっとゆっくり、お話しを伺いたいと願い、6月末には第1回の「飯塚先生と語る会」をもつに至りました。
その後1年間毎月1回の会を重ね、時間はあっ!!という間に流れました。飯塚先生と十数名の会員の関係は日に日に、濃密さを増していきました。もう5年も10年もの古いお仲間のように。(私も会の一員です。)
会では、我が子のこと、自分自身のこと、家族のこと、学校のこと、社会のこと…それぞれの人が抱えている思いをありのまま語り、ありのまま受け止め合える、安心できる居場所となっていきました。その中心にはいつも子どもたちの作文や詩が登場しているのです。飯塚先生と子どもたちの世界を通して生み出された作文、詩、絵など。これが楽しくて、面白くて、切なくて、悲しくて、その上狂おしいまでの現実を私達大人に突きつけてくるのです。子どもたちの作品が一人ひとりの胸をノックし、そっと開けてくれるのです。それまで心のひだの奥深くにたたみ込んでいた様々な重荷から解き放され、爽快な気持ちになれました。目まぐるしい日常の中でも語る会のあった日は子どもにとってもやさしくなれました。自分を信じてみようと思いました。と同時に、仲間の一人ひとりと本気で信じ合えるようになりました。
子育てのこと、子どもの本のこと、読みきかせのこと…を話題の中心に集まっている会なのに最近ではそれぞれの人の生活の質の変化が語られるようになっています。○○ちゃんの作文がね、○○くんの詩や絵はね…と話は際限なく盛り上がり、気がつくとみんなそれぞれに自分自身の生き方や、価値観を見つめているようなことがしばしばです。その上語り合うだけでなく、「書く」ことの楽しさまでgetしてしまったようです。「書くこと!!これが最高の免疫力アップ!!」と豪語するYさんは2年前に大きな病いを乗り越えています。
「飯塚先生に読んでもらいたくて書くの。それがこんなに楽しくて」と、思いは子どもたちと同じなのです。原稿は先生にお渡しすると活字になって返ってきます。私達の会の学級通信なのです。
私達がこんな充ち足りた時間を経ることで少しずつでもそれぞれの家庭の子どもが変わり、家族が変わり、子どもを中心にして人間関係が変わってきたように思います。関わり合う人々がみんな子どもも大人も肩の力を抜いてありのままの自分でいられる心地よさを実感しはじめているようです。
ありのままを語り合い、受け止め合える関係とその環境を意識してつくり出すことは、今、子どもたちに対して大人の為すべき責任なのかも知れません。
前おきが大変長くなりました。こんな1年間の経過を振り返っていると、私達勝山小学校の会だけで楽しんでいてはもったいないような気がしてきたのです。他の学校の子どもたちや保護者の方々とご一緒にこんな機会がもてたらどんなに楽しいことでしょう。私はその機会を2011年度の定期総会第2部にチャレンジしてみたいと思いました。子どもも大人も一人ひとりの参加者がみんなそれぞれに自分の好きな作文や詩、お話などを持ち寄ります。勿論、きらいなものでもOK、何もなくてもOK、読んでも良し、話しても良し、歌っても、踊ってもその人の自由。子どもも大人も自由に「思い」の交換会をしてみてはどうでしょう。参加して聞くだけでもいいのです。
子どもの意見表明権を大切にするって、どんなことなのでしょう。ご一緒に考えてみたいと強く思いました。
(文責・小林美代子)