パートナー通信 No.47
県内市町村子ども行政の実態明らかに
子どもの権利に関する第3回市町村アンケート
調査結果まとまる
日本政府に対して国連から昨年6月に出た第3回勧告(正式には最終所見)を受けて、私たち群馬子どもの権利委員会が昨年10月から本年3月にかけて県内の全市町村に実施したアンケート調査の結果が、2冊の小冊子にまとまりました。会員にはこの通信とともに同封しましたので、ぜひご覧ください。会員外でもご希望の方は、残部が少しありますので、お早めに事務局まで申し出ていただければ差し上げます。
2冊のうち1冊は、市町村からの回答をそのまま列挙した20ページの冊子で、いわば「基礎的な資料」です。アンケートの質問項目は10項目ですが、ご回答いただいた市町村の部署を最初のページに掲げ、つづいてアンケート項目を順次あげながら、それに従って市町村ごとに回答をそのまま掲載しました。
もう1冊は8ページの小冊子で、アンケート結果を要約し、群馬子どもの権利委員会の見解を述べた「要点と意見」です。問題点を6つの柱(子ども行政の一元化、条約の広報と職員の研修、子どもの意見表明と社会参加、子どもの貧困と家庭での虐待、学校などでの人権侵害の救済、子ども施策の原則)に整理し、柱ごとに全県的な傾向をまとめて、前2回のアンケート結果との比較も試みました。
このアンケート調査は国連からの勧告を受けて毎回行ってきましたので、今回は第3回になります。合併で35になった全市町村の約74.3%にあたる26市町村(11市10町5村)から回答がありました。1999年の第1回が70市町村の約81.4%にあたる57市町村、2005年の第2回が54市町村の75.9%あまりの41市町村から回答を戴いていますから、毎回かなりの回答率を確保しており、県内子ども行政の実態と、歴史的視野もふまえたその動向は、充分に読み取れると考えます。
特徴的なことをいくつかあげますと、まず、子ども関係専門の課を設けて子ども行政の一元化をはかる方向はかなり進んでいますが、子どもの権利条約と国連勧告を職員や住民のあいだに広めることは低迷しているように思われます。国や県から国連勧告に関する通達は来ていないようですし、教職員を含めた職員研修の機会は増大しているものの、子どもの権利は権利一般に埋没して、特化した研修はほとんど見当たりません。
国連が重視する子どもの意見表明についても、「子ども議会」の開催などは見られますが、子ども関係施設の運営に子どもが参加している場合はまずありません。また、最近問題になる「子どもの貧困」は今回初めてお訊ねしましたが、経済的な支援はかなり多くの市町村が行っているものの、国連が指摘する<子どもと親・子どもと教師の人間関係の貧困>については、いっそうの理解と対応が望まれます。
今回の回答では、「要保護児童対策地域協議会」の設置や子どもたちへのアンケート調査の実施など、家庭での虐待や学校でのいじめを防止する対策として、前回までなかったものが共通して見られました。あるいは国や県の指導があったかもしれません。
このあと、このアンケート結果を手がかりに県当局や市町村を訪問して、理解と交流を深めたいと考えています。まず、11月24日(木)午前10時から、群馬県庁29階292会議室で、県当局との話し合いを行います。会員のみなさまの参加を歓迎します。参加される方は、事務局までご連絡ください。
連絡先は、事務局長:加藤彰男(0270-20-2059)です。