パートナー通信 No.48
子どもの権利に関する第3回市町村アンケートの
結果にもとづいて県当局との話し合い行われる
県内各市町村に実施したアンケートの結果がまとまったのを受けて、群馬子どもの権利委員会は旧年11月24日午前、県当局との話し合いを行いました。県側からは生活文化部少子化対策・青少年課から飯塚課長をはじめ3名、健康福祉部子育て支援課から2名、教育委員会義務教育課から2名の計7名、権利委員会側からは大浦代表ら7名が参加しました。
まず資料を交換し、飯塚課長と大浦代表が挨拶したあと、出席者が自己紹介。つづいて大浦代表がアンケート結果の『要点と意見』に基づきながら、問題点や疑問点を指摘し、権利委員会の解説と意見を述べて、県当局の見解を求め、みんなで話し合いました。
広報と研修
とくに重点がおかれたのはまず国連勧告の広報と研修の問題で、2010年6月に国連から出された第3回勧告 が日本政府から県に通達されているか、また県は市町村に勧告を通達しているか、を問いました。これに対して、「国からの通達は来ており、群馬の状況を考えあわせながら検討中だ」という飯塚課長の回答がありました。教育委員会からは、「新任管理職研修、教員の初任者研修などでこの勧告に触れた」との説明もなされました。
ただこの話し合いのあとで聞いたことですが、「国(外務省)は県などに国連勧告を通達していない」というDCI日本支部からの情報もあります。県当局とのこの話し合いの中では、「初任者研修などで触れるだけでは不十分で、検討が終わったらもっと広く知らせてほしいと」と要望しました。
いじめ・虐待対策
あと1つ重点がおかれたのは、いじめや虐待への対策です。アンケートの中で多くの市町村が「要保護児童対策地域協議会」を設置し子どもの虐待に対処していると答えていましたが、「これは2008年4月1日から全市町村に設置が義務づけられ、代表者会議、実務者会議、個別ケース検討会議の3つのレベルがある」という説明がありました。
また、いじめ対策室を設置し、電話相談も受け付けているとのこと。2010年度には611件の電話相談があり、この数字は高止まりだといいます。市町村アンケートで多く実施しているのが見られた子どもたちへのいじめ問題アンケート調査も、毎月調査するよう県が指導しているそうです。
行政と民間の連携
そのほか、権利委員会の参加者から、子どもの意見表明権を保障するための「生徒・保護者・教職員三者の会」を学校に、外国籍の子どもの学習権を保障するための「日本語教育の充実やボランティアの活用」、『みんなの願い』は5年生ではなく小学校入学時に配布を、などの意見や要望も出されました。
話し合いは、行政と民間という互いの立場を尊重しながらも、相互の理解を深めようという率直で自由な雰囲気の中で進められ、それなりの成果を上げることができました。いじめや虐待について子どもがまともにものが言えるには、教師と子ども、親と子どもがいい人間関係を保っていることが必要だ、という共通理解も得られました。
交換した資料
権利委員会から県当局に渡した資料は、市町村アンケート結果の『基礎的な資料』と『要点と意見』、権利委員会の『活動の紹介と入会案内』、子ども向けのリーフレット『こどものけんりじょうやく』と『あそべあそべカルタ』でした。
県当局から権利委員会に渡された資料には、まず健康福祉部子育て支援課が2010年3月に出した子ども権利ノート『あなたのおはなしきかせてね!』があります。施設で生活する子どものために、自らの権利とその守り方を説いたもので、よくできています。
教育委員会からは幅広く人権教育の指針を示した『群馬県人権教育充実指針』と、小学校の保護者のための人権教育資料『みんなの願い』をいただきました。『指針』の関連資料には、子どもの権利条約の条文を加えていただけるとなお良いかと思います。