パートナー通信 No.50
2012年度「総会」報告
第一部・議事
「子どもたちの命を守るという立場から、原発事故問題や放射線被曝から子どもたちを守る取り組みを、子どもの権利委員会としても進めるべきである」という補強意見を取り入れて、すべての報告・提案事項が承認されました。この『パートナー通信』と合わせて承認された議案書を会員の皆さんにお届けします。
第二部・子どもの学びの権利を考える「講座」
『おもしろ漢字講座』
西川圭一先生(高崎市立浜尻小学校教諭)
◇はじめに
2010年度総会第2部学習交流会で、飯塚祥則先生の講演「こはるでよかった」(講演記録集として既刊)をお聞きしました。先生は子どもと「作文」との係わりの中で長年教育実践を積まれてこられました。お話のメインテーマは子どもたちのありのままの表現をありのまま「受け止める」ことの大切さでした。
2011年度総会第2部の交流会では飯塚先生を核に拡がり続けるお母さんたちや作文大好きな子どもたちに、今、自分が思っていること、伝えたいこと、何でも、みんなで交流会しましょうと呼びかけました。当日、飯塚先生の進行に子どもたちは白熱してゆきます。ありのままの自分を受け止めてもらえる信頼関係を土台に、主体的・積極的に自分の意志や意見を表現してくれました。
この日を境にした子どもたちの変化には目を見張ります。作文はあまり好きでないというSちゃんは突然作文を書き始めました。その後も泉のように沸き出る想いを文章に綴っています…飯塚先生に読んでもらいたくて!! Sちゃんだけでなくたくさんの子どもたちが創造的な表現を自分の日常の生活に取り込み自らの成長の糧にしているのです。
この子どもたちと飯塚先生との関係の中に「本当の教育とは何?」を深く考えさせられました。
◇おもしろ漢字講座
過去2年間の流れを受け、今年度、子どもの「学びの権利」を考える集いとして西川圭一先生にワークショップ形式でご講演いただきました。
漢字の勉強といえば読み方、書き順、時に成り立ちにふれて、部首を学べばあとは、ひたすら練習…。そんなイメージではありませんか。でも、実は漢字ってとても奥の深いおもしろい文化です。漢字のおもしろさと、楽しい授業や練習法を親子で一緒に体験していただきました。
- 漢字のなりたちのはなし。
「手」という漢字から…友、看、取、父、支。
「人」という漢字から…化、比、北。
「女」という漢字から…母。 - 「へん」と「つくり」のはなし。
「人」と「木」で「休む」。
その形の変化、共通の部首をさがそう。 - 部首ジグソーパズル
- 漢字カルタであそぼう
漢字のなりたちでは、自然界の神や動物・植物との一体化した生活の中でさまざまな交信の必要に迫られて、動植物の形から次第に現在の漢字になるまでのプロセスを立て板に水の如く、鮮やかに展開してくださいました。しかも墨使いは黒々と見事な筆さばきとそのリズム感は圧巻です。書道の大家でいらっしゃる西川先生の迫力に接することができました。ひとつ、ひとつの漢字が完成する度に「なるほど」と納得です。
子どもたちも次々と意見を求められ、積極的に学習内容に参加しました。何人かの子どもは前に出て西川先生の教材の一部となって参加し、本人だけでなく参加者全員から歓声の上がるひとこまもありました。
先生から一方的にお話しを聞くだけでなく、一人ひとりが書いたり、切ったり、並べたり、しながらゲームやパズルをするような感覚で授業に参加しました。楽しい時間を過ごしていただけたと思っています。
◇おわりに
子どもも、大人もリラックスした雰囲気の中で多いに楽しみながら手堅く得るものがあった!!と感じていただけたらこの上なくうれしく思います。
西川先生のワークショップを通して、「学ぶとはこんなに楽しいもの」ということを実感いたしました。
後日譚ですが、当日先生からご紹介いただいた漢字はそのなりたちを全部書けるようになったよというSちゃん。又、Tさんのお宅では、講座には参加されなかったお父さんがその夜、漢字ジグソーパズルに挑戦してお楽しみいただいたとか…西川先生本当にありがとうございました。今回の学習会を通して、子どもの権利条約28条「教育への権利」、29条「教育の目的」を大切にするとはどういうことかを考える機会をいただいたように思います。これからもみなさんとご一緒に学び合える場を!!と願っております。
(文責:小林美代子)
講座に参加した皆さんからの感想
❤とても楽しかったです。子ども達が漢字に興味を持ち、楽しく勉強できると思いました。もっといろいろ教えて欲しいと思いました。
(高橋清乃さん)
❤たいへん楽しかったです。子どもが、いくら言ってもメチャクチャな書き順で字を書きます。今日の勉強会できちんと書いてくれるといいと思います。
(匿名希望のお母さん)
❤漢字の成り立ちから、その意味までわかって、大人でも勉強になった。漢字パズルは答が一つではなく、完成したものからさらに変形させて、別の意味になるのは、とてもいいと思う。私たちの生徒はみな外国人だが、参考になった。
(NPO法人・多言語教育研究所(伊勢崎市)のスタッフさん)
❤子どもも大人も楽しめました。
学校では、漢字の成り立ちを学ぶ事もないでしょうし、親でも教えることはできません。
漢字のルーツを学べて、さらに楽しくすごせて、とても勉強になりました。
時間がもっとほしかったです。
(高山美枝さん)
漢字おもしろこうざ
3年・9歳 高山 咲来
わたしが、漢字おもしろこうざに行って来たのは二回目です。二回とも、ちょっと、内容がちがっていて、とても楽しかったです。わたしは、「馬」という字のなり立ちが、すきです。目、たてがみ、足、しっぽと、よく見ると本当にあります。すごい字だと思います。
漢字バラバラパズルも、おもしろかったです。わたしは、7こしか組み立てられなかったのがとてもくやしいです。カルタはいっぱい取れてうれしかったです。
❤漢字バラバラパズルが親子で楽しめました。
漢字のカルタあそびは、1年生はまだ漢字は習っていなかったのですが、2枚とれてよろこんでいました。覚えているものですね。
(匿名希望の方)
❤今日はとても面白い漢字講座、ありがとうございました。
毎日、次々と漢字が出てきて、子どもたちは形と読み方と意味を覚えるのが大変!!
そんな中、どんな風な形や意味から漢字が出来たのか、一つの字が沢山の漢字となって、沢山の意味につながって行く世界がとても楽しかったです。
子どもと一緒に漢字の成り立ちを意識して覚えて行けたら楽しいですね。
企画して下さった皆様、西川先生、ありがとうございました。
(高橋千津子さん)
❤漢字もどんどんパソコン、携帯メールで変換して呼びだすので、いざ自分で書くとなると忘れてしまい、携帯電話片手に辞書で文章を書く始末。
絵や形で頭に入れていくとわかりやすい。
とても楽しく勉強ができました。ありがとうございました。
(匿名希望の方)
❤教え方、教材、手順がまことにすばらしく感動しました!! 漢字のなりたち、とてもおもしろく新鮮でした。墨を使って書いてくださり、わかりやすかったです。とてもキレイでした。美しい!
漢字に限らず、学ぶって楽しいのですね、本当は。また、子どもたちの反応がすごくて感心させられました。大人向けのコメントもすごくおもしろい。(中国の歴史の順、もう一回教わりたい。)組み合わせも、合わないとぜんぶ合わない…のたとえも社会を比喩していておもしろかったです。
子どものころにこうした授業を受けていたら、もっとちがう自分だったように思います。また機会があればまた学びたいです。
今日は楽しい時間を久しぶりに過ごせました。ありがとうございました。
(高橋志保子さん)