パートナー通信 No.52
地域の活動紹介 - 沼田市子育て支援ネットワーク推進協議会協働して、安心の子育て
昨年の12月22日(土)、前夜の雪が薄っすらと残る静かな町並みを見ながら、沼田市保健福祉センターへと向かい、会場の機能訓練室に入ると、もう30人を超える若いお母さんたちが、沼田特産のリンゴのようなほっぺの子どもたちと一緒に集まっていました。4人のお父さんの姿も見られ、みんなで子育てをという温かい雰囲気に包まれていました。
私たち取材班が訪問したのは、「沼田市子育て支援ネットワーク推進協議会」(以下『子育て支援ネット』という)主催の講座「子どもとアレルギー~おそれず、あせらず、悪化させず~」。 この講座を中心になって企画運営しているのは「母乳育児サークルおしゃべり会」や子育てサロン「あかふうせん」の皆さん。乳幼児の子育てで心配なことの一つがアレルギーの問題です。
講師の多田香苗先生子は、講演の冒頭、私たち取材班の参加に関連して、子どもの権利条約第24条「到達可能な最高水準の健康の享受ならびに疾病の治療およびリハビリテーションの便宜に対する子どもの権利」、とりわけ「子どもの健康及び栄養、母乳育児の利点などの情報提供、教育、援助」についての紹介をしてくださいました。
そして、ホワイト・ボードに書かれた3つのキーワードは「傷つけない・傷ついたらすぐ直す・適切な栄養」。
小児科専門医・日本アレルギー学会専門医である多田先生は、「小児アトピー性皮膚炎」「食物アレルギー」「小児ぜん息」についての4種類の冊子(いずれも独立行政法人「環境再生保全機構・ERCA」発行:注1)を準備され、パワーポイントと合わせて、大切な、しかも膨大な情報を手際よく説明されていました。 取材班メンバーはすでに子育ても終っていますが、自分たちの子育て時代から比べると、アレルギーに関する研究は格段に進歩していて、アレルギー発症のメカニズム、ステロイド薬の処方、予防やケアーなど、まさに目から鱗のようでした。 しかも最新の資料では「災害時の対策」も紹介されていました。 親子3人で参加していたお母さんは、「毎月のおしゃべり会に参加していて今日の講座を知りました。おしゃべり会で、お母さん同士で何でも話し合えるのが楽しみです。分からなくて不安なことや子どもたちの成長の喜びも共有できていいんです。」横にいたお父さんから、「ほんとうに安心です。いろいろな情報があるなか、このような機会で正確な理解を得られるのがいいですね。」の言葉も添えられました。
注1:詳しい資料等の入手を希望される方は「環境再生保全機構」へアクセスしてください。 http://www.erca.go.jp/yobou/
TEL : 044-520-9568
FAX : 044-520-2134
ひろば型の子育て支援
NPOのちからを活かした行政とのコラボ
アレルギー講座のあと、この企画運営を支えている、沼田市子ども課子育て支援係長の狩野裕子さん、利根沼地域ボランティアセンター「ごったく広場」の真下淑恵さんにお聞きしました。
2011年7月、沼田市保健福祉センターの一室に『子ども広場』が開設されました。
月~金曜日(8:30‐16:00)に開かれていて、絵本やおもちゃなどもあり、ママと子どもが気軽に利用できます。
また、毎週月曜日には、読み聞かせ、お絵かき、歌とリズム、不用品交換など、いろいろいろな催しがあります。
隔週土曜日には「おもちゃ図書館」が社会福祉協議会のボランティアによって開かれ、障がいの有無に関わらずたくさんのおもちゃで遊べます。おもちゃドクターさんも来てくれます。
この豊かな内容を支えているのが『子育て支援ネット』に参加している各団体の皆さんです。
地域子育て支援拠点事業の「センター型」で、専門の保育士や指導員の支援が受けられていますが、一方で、お母さんたちが気軽におしゃべりもできるような「ひろば型」のつどいへの要望もありました。そこで、群馬県の「地域づくり協働モデル事業」に応募して、地域の子育て支援に大きな役割を果たしているNPOやボランティアグループと行政が情報を共有し、協働して子育て支援を行う仕組みを沼田市にも作ろうという気運が高まりました。
利根沼田地域ボランティアセンターと子ども課の呼びかけに応えて、和い輪いクラブ、あかふうせん、沼田読み聞かせの会、うすねニュースポーツクラブ、紙芝居サミット実行委員会、利根沼田子どもを育てんべえ委員会、沼田市に児童館を要望する会、利根沼田育児ママの寺子屋、母乳育児サークルおしゃべり会、沼田市社会福祉協議会、などが参加して『子育て支援ネット』が立ち上がり、県の事業認定(平成23・24年度)と助成を受けることができました。
『子育て支援ネット』では、それぞれの団体が企画しているプログラムやイベントをニュースやホームページで紹介しています。この12月だけでも、4日から26日まで、合わせて38の企画やイベントが、子育て支援センター、市立図書館、利根中央病院、白沢創作館などを会場に開催されています。会の様子や次のイベントの紹介がミニニューズレター『沼田子育てネット』でお母さんたちに届けられます。
『子育て支援ネット』の皆さんの共通の願いは…「今さまざまな情報があふれるなかで、自分の子どもと向き合って、何を選択したらいいのか迷っている多くのお母さん・お父さんたちがいます。だからこそ、子どもたちがきちんと成長することを何よりも大切にする、そのための学び合いや交流の取り組みを強め、より安心で子育てしやすい環境を整えること」…なのです。
『でも、もう一歩前に踏み出せないでいるお母さんにも、ぜひ参加してもらいたいんです。』 という言葉からスタッフの皆さんの熱い思いが伝わってきました。
(取材:小林美代子・藤井幸一・加藤彰男
文責:加藤彰男)