パートナー通信 No.53
自治体訪問 懇談と意見交換-⑤ 〔伊勢崎市〕
【伊勢崎市との話し合い】
伊勢崎市側は市民部人権課から課長と人権啓発係長ほか1名の3人、福祉部児童家庭課から課長と子育て相談センター係長ほか1名の3人、教育委員会から学校教育課長と健康教育課長の2人、計8人が出席。子どもの権利委員会からは、代表を含む世話人6人のほか、地元の会員1名の7人が参加しました。
自己紹介のあと大浦代表が小冊子『市町村アンケート結果の要点と意見』に基づき、伊勢崎市のアンケート回答も考慮しながら、条約と勧告の市民への広報、子どもの意見表明と社会参加、いじめと虐待や体罰への対応、放射能汚染から子どもを守る対策、の4点に重点をしぼって問題を提起し、話し合いに入りました。
広報については、人権教育の一環として行っていると人権課長から説明がありました。1月20日にも、和田献一氏を講師に招き、「ちょっと待って!人権がある―子どもの権利条約から考える」と題する人権講座を開催したとのこと。配布された資料だけでも16ページにわたる詳細なもので、この講座に参加した子どもの権利委員会世話人の話では、子どもの権利条約を重視した内容のあるものだったそうです。
子どもの意見表明と関わって、学校で子どもも教師も自由にものが言える人間関係づくりは、いじめや体罰防止にもつながります。教育委員会はこの点を重視し、「ふわふわ言葉」や「ちくちく言葉」に気づかせながら、挨拶に始まり相互に言葉を交わすことを活発にして、言語活動の充実をめざしている、と学校教育課長は言います。
「教師がパソコンばかりで子どもとの対話が少ないのでは」という世話人の指摘に、課長は「子どもが掃除終了の報告に来たら、ご苦労さんと声をかけるよう指導している」と答えました。「学校は競争の場ではなく、まちがってもいいところだ」と子どもに教えて、お互い同士声をかけあうようにしているとのことです。
日本語が不自由な外国籍の子どもの問題も、伊勢崎の地域性として、地元参加者や世話人から出されました。漢字の習得など日本語の手当てが必要な子どもは300人ほどで、国からの補助も受けながら、スペイン語のできるスタッフを16校に配置していると言います。
直接的ないじめ対策としては、どこでもやっているアンケート調査などのほか、伊勢崎市独自の『いじめ問題対策リーフレット』を作成して全教職員に配布し、また、いつでもどこでもすぐ相談するという意味の「チャンス相談」にも取り組んでいます。「いじめ防止キャンペーン」を2ヶ月にわたって推進したとの説明もありました。
学校外での子どものケアでは、7つある児童館に合計45の放課後児童クラブ(小学1~3年対象)があり、運営に直接子どもが関わってはいないが、利用者アンケートをとって参考にしていると、児童家庭課長から話がありました。また、一人親家庭などに対して月額2千円の児童扶養手当を約200人に支給しているそうです。
しかし、子育てのことできわだっているのは、2010年10月に「子育て相談センター」を市役所内に設置し、虐待を含むさまざまな相談に専門スタッフが応じるとともに、42ページにも及ぶ『子育て支援ノートブック』を作成して親たちに配布し、積極的に子育て支援を行っていることでしょう。カラーのチラシでセンターの宣伝もしています。
最後に放射能のこと。健康教育課長から、地上1メートルで0.23μSv/hという国の除染基準を尺度に、校庭、プールの水のほか、給食も検査していますが、伊勢崎市では国の基準を上回る数値の放射能が検出されたことはまだない、という説明がされました。
(報告:大浦暁生・加藤彰男)