パートナー通信 No.56
自治体訪問懇談と意見交換―⑧〔みどり市〕
「子どもの権利条約に関する市町村アンケート(2010年)」にもとづく自治体訪問、子ども行政・教育行政担当者との「懇談・意見交換会」は、群馬県当局に加えて、今回のみどり市を含めて通算11市1町への訪問となりました。昨年12月19日に行われたみどり市訪問の概略を報告します。
市側は、保健福祉部から部長、こども課長ほか1名、教育委員会から社会教育課長、学校教育課長ほか2名の計7人が出席、子どもの権利委員会からは世話人5人が参加しました。地元会員の参加はありませんでした。
冒頭挨拶の中で、大浦代表は、2008年7月のみどり市人権教育推進協議会委員の研修会に講師として参加できたことや『みんなともだち』に「子どものけんりカルタ」の紹介を掲載していただいたことなどに感謝しながら、「子どもの権利条約に関するアンケート調査」と自治体訪問の趣旨を説明し、条約の普及と子どもの権利擁護に関して共に学びあう会にしたい、と述べました。
両者の自己紹介につづいて、加藤事務局長から話し合いの柱と持参した資料の説明を行いました。特に国連子どもの権利委員会のクラップマン氏の講演記録「日本政府に対する最終所見のポイント」にやや詳しく触れました。 「条約の広報・研修」については、社会教育関連では14ページわたる資料にもとづいて、人権教育推進協議会、人権教育指導者養成講座、「子どもの気持ちといじめ問題を考える」講座、みどり市人権講座などの取り組み、みどり市人権展に寄せられたポスター・作文・標語を人権冊子『みんなともだち』に収録して全戸配布しているなどの充実した取り組みの説明がありました。
平成24年度版の『みんなともだち』には「やさしいことばで書かれた世界人権宣言」が紹介されていましたので、次には私たちの『わかりやすく言いかえた子どもの権利条約』なども活用してほしいと要望しました。学校教育関連では、全県的にも取り組まれている12月の人権週間にちなんだ集中学習の様子が報告されました。
「いじめ問題」については、みどり市の特徴的な取り組みとして、市内のすべての小・中学校で『ハイパーQU』(河村茂雄著)というアンケート調査を年2回実施しています。大きく3つ「やる気のあるクラスをつくるため・いごこちのよいクラスをつくるため・ふだんの行動をふりかえる」という柱で構成されていて、個々の生徒の学級での位置や満足度ないしは疎外感などのほか、学級全体の状況をつかむものです。調査結果を単なる分析に終わらせないで実践に活かせるよう、先生方の研修も実施しています。また、社会教育諸団体に依頼して1000を超えるサンプルにもなるいじめについての意識調査を行なったり、スクールカウンセラーについては予算をつけて日数・時間の制約を除く取り組みもしているということでした。
「貧困や虐待の問題」では、まず、福祉部子ども課から、貧困家庭への支援について、国や県の基準に基づいた施策を行っている、と説明がありました。親子関係への対応策としては、健康管理課が「両親教室」、「乳幼児相談」などを行なっていますが、子ども課では「家庭児童相談室」で不安や心配ごとの相談にのっています。今年度から職員を4人に増員、相談の数は年々増加傾向にあり、昨年は養育関連で139件、虐待関連で59件でした。また、市長のマニフェストに基づき来年度から専用電話「子育て応援ダイヤル」を設置して充実を図る予定だということでした。
虐待防止では、要保護児童対策地域協議会を今年7回ほど開催し、民生児童委員などと連携して心配のある家庭や児童への見守り活動を実施しています。保育園・幼稚園・学校に子どもたちの身体・行動の変化への注意と発見・通報などを依頼をしたり、児童相談所との連携を密にしたりしているそうです。
さらに、待機児童やスポーツ少年団の指導のことなども話題になりました。
(報告 加藤彰男)