パートナー通信 No.57

自治体訪問懇談と意見交換―⑨〔桐生市〕

 「子どもの権利条約に関する市町村アンケート(2010年実施)」にもとづく自治体訪問、子ども行政・教育行政担当者との「懇談・意見交換会」は、今回の桐生市を含めて通算全12市と1町への訪問となりました。これで自治体訪問の取り組みに一区切りつけ、次の「第4回報告書」作りに向けた準備に入る予定です。

 

 3月20日(木)午後、桐生市役所内の会議室で行われた懇談・意見交換会に、市側から、保健福祉部子育て支援課長ほか2名、教育委員会学校教育課教育支援室長、生涯学習課課長補佐ほか1名あわせて6人が出席、子どもの権利委員会からは世話人4名が参加しました。
 市民への広報活動で特徴的なことは、他の自治体と同様に桐生市も12月の人権学習週間に、小・中学生の人権標語・ポスター・作文つくりに取り組んでいますが、その優秀作品を市内のスーパーマーケットの一角を借りて展示していることでした。土日を含む10日間の展示ですがより広い層の市民に見てもらえる取り組みと言えます。また、この作品を掲載した冊子や中学生向けの冊子「考えよう、あなたの人権、わたしの人権」、小学生向けの冊子「みんなが幸せになるために」などの資料をいただきました。タイトルにあるような「あなたの人権もわたしの人権も」という視点や冊子の中の「子どもも一人の人間として最大限に尊重され、守られなければなりません」という言葉はまさに条約の精神と合致しているところです。
 生涯学習課が窓口になって「生き生き市役所出前講座」という、市民の要望に答えて担当職員が、土日や夜でも出かけていく事業があり、その一つとして人権講座「みんなが幸せになるために」があります。この講座を直接子どもたちに届ける企画として、市内全小学校の6年生を対象に、各学校ごとに1校時分の時間を取り「いじめ」問題や子どもの人権を内容とする学びの機会を作っています。この講座には保護者も自由に参加できるそうです。子どもたちに感想文を書いてもらい、担当職員が手書きの返事を書いたり、気がかりな内容の感想があったときは学校と連携して必要なフォローなどもするように心がけているということでした。
 子どもの意見表明と関連して、昨年10月に開かれた「子ども議会」で4人の子どもたちから出された、伝統的な絹織物を体験して広め、その良さを実感したいという意見を生かして、新年度から各小学校で「織物体験授業」を実施することになったといいます。
 「いじめ」問題に関しては、「いじめ防止子ども会議」に小・中学校の代表が集い、それぞれ1年間取り組んできたことを交流し、互いに学び合っています。この会には保護者も参加して、子どもたちが何を考え、どういうことをしようとしているかの理解を深めました。また、子どもの思いを受け止めるために、県のスクールカウンセラーに加えて市独自に教育相談員を配置し、すべての小・中学校に毎日相談員がいるという態勢を整えています。
 子どもをめぐる貧困の問題に関しては、種々の手当・援助金などの経済的支援や市独自の保育料の値下げなどについての説明がありました。
 子育て支援・親子の関係作りについては、育児講習会や年5回の健康講座で保健師・短大の先生などから学べるほか、地域の4つの公民館で毎月開催される「出前サロン」(親子の遊び・子育て相談・玩具づくりなど)、ゼロ歳児を持つ親を対象した「赤ちゃんサロン」(親子で触れ合いの仕方などさまざまな相談や体験ができる)、また健康づくり課と共同した出産後の「パパママ講座」や発達障害などの心配がある子どものための「つばさクラブ」などさまざまな取り組みが進められています。
 児童虐待への対応では、市民からの通報を受けた時の一連の取り組みを24時間以内に進めるよう心がけている。「子育て放棄」の家庭はある程度把握できているので、定期的なケース会議や見守り活動をしているということでした。
 放射能対策としては、公共施設を対象に測定を続けていて、基準値を下回る状況にあるということでした。

(報告 加藤彰男)


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