パートナー通信 No.59

「遊び」で楽しく国際交流
「国際こども遊びフェスティバル in 玉村」こどもフェスティバル実行委員 関口 信子

「手をつなごうよ 世界の子ども」
 7月13日、玉村町において、子どもを主人公にした「国際こども遊びフェスティバルin 玉村」という国際交流のイベントが行われた。
 これは、行政と協働して地域課題を解決するための「玉村町協働によるまちづくり提案事業」の一つである。

「わかってほしい 子どもの心」
 群馬子どもの権利委員会が制作した「子どものけんりカルタ」を手にしたブラジル出身のお母さんが、「外国の子どものことをもっと理解してほしいから学校に持っていきたい!」と言ったことがきっかけとなり、この企画が持ち上がった。
 外国の子どもたちの中には、うまくコミュニケーションがとれなかったり、生活習慣が違ったりして悩むケースも見受けられる。
 小さいころから一緒に遊んだり、交流したりすることでお互いを理解し合い、仲良しの関係が築けると思われるが、町の子どもたちがいろいろな国の子どもたちと交流する機会はまだ少ないのが現状である。

「知ろう知らせよう 権利条約」

 このような現状を踏まえ、子どもたちにとって一番身近な「遊び」を通して国の枠を超えた心の交流や相互理解の場を作り、「ちがっていいんだ あなたとわたし」「差別されない差別もしない」「やさしい心で支えあう」など、お互いを尊重し、支え合う多文化共生の素地作りを目指して実施されたものである。
 『見て!遊んで!食べて!外国のことや日本のことを知ろう!仲良くなろう!』と日本語、英語、ポルトガル語、スペイン語、中国語、タガログ語のチラシを作っていろいろな国の子どもたちの参加を呼び掛けた。
 世界の子どもたちの集まる場である。そこで、世界中の子どもたちの幸せを願って作られた国と国との約束「子どもの権利条約」についても啓発しようと目的の中に盛り込んだ。
 遊びながら「子どもの権利条約」や子どもの権利について、その主体である子ども自身や子どもに関わる大人たちに理解してもらえるように「子どもの権利条約」の精神をやさしいカルタにした「子どものけんりカルタ」を使って「カルタ大会」を行うことにした。

「各地の学校に 子どもの権利を」

 フェスティバルで使用したカルタは、使用後、学校や児童館へ提供し、遊びや人権学習等で活用してもらう予定である。おおいに遊んで絵札やカルタ言葉を心に刻んで「みんなで作る 楽しい学校」にしてほしいと願っている。

 準備段階からよりたくさんの子どもに関わる人たちにも参加してもらうことで、子どもの権利条約に基づいた子どもにやさしいまちづくりを意識してもらえるのではないかと考え、群馬子どもの権利委員会をはじめ、国際交流協会や学生ボランティアサークルに積極的に協力をお願いした。皆、快く引き受けてくれて当日のボランティアは総勢47人の協力をいただいた。
 万国旗で囲まれた会場のメインステージには『国際こども遊びフェスティバル in 玉村』の看板の下に子どもの権利カルタのA3版絵札の拡大版と「子どもの権利条約」の文字。壁には、ユニセフの写真パネル『守られているの?子どもの権利』『ひとりひとりが大きな力』を展示して視覚からも啓発を行った。

「それが第一 子どもにいいこと」開始!

 いよいよ当日。会場の「ふるハートホール」に日本、ブラジル、フィリピン、イギリス、アメリカ、ベトナムなどの子どもたち(大人も含む)が約250人も集まり、大盛況の交流会となった。

「絵でも歌でも 気持ちは言える」

「子どもの表現の場」として『見て!』のコーナーで音楽やダンスなどの発表も盛り込んだ。玉村町には、子どもたちが活動している「玉村ジュニアオーケストラ」やウクレレの「みちくさkids」、フラダンスの「プメハナメケアロハ」などがある。発表する子どもたちにとっては貴重な自己表現の場になるとともに、多様な文化に出会う機会になると考えた。小さな子どもたちが一生懸命頑張る姿は胸を打ち、大きな拍手でたたえられた。

「世界のことは なんでも知りたい」

 仲良くなる基本のスキルは「あいさつ」である。いろいろな国のことばであいさつすると、みんなにっこり。知らない人も笑顔になった。
 次は世界お国めぐりゲームでチーム作り。
 "どんな国があーるかな?"
 "Can you say a country name?"
 "ブラジル"と言うと4文字なので4人でチームを作る。これは、カルタをするチーム作りにもつながっている。次々に国の名前を呼びながら、最後に8人組みを作った。

「遊びは子どもの エネルギー」

 いよいよメインの『遊んで!』のコーナーである。「子どものけんりカルタ大会」へ突入。8人組の輪が18チームくらいでき、絵札が並べられた。マイクで読み札を読むのは、ブラジルのRちゃん。取り札の文字が分かりやすいようにステージで黒板に大きく文字を書くようにした。読み上げるたび、あちこちから歓声が上がり、熱く盛り上がった。カルタ言葉に表現されている「子どもの権利条約」の精神について、補助的に解説も入れ、意味をとらえやすくした。
 知らない子たちが集まったグループであったが、カルタをやっているうちに外国の友だちが取ると自然と拍手が起こったり、取りやすい位置に置いてやったりと気配りがされたという。また、残りの札が少なくなると「手は頭へ」など、自分たちで考えたルールも適応され、まさしく「やさしい心で 支えあう」「ルールはみんなで 作ろう守ろう」の場となった。子どもに預けると子どもなりの発想やアイデアで柔軟に対応していくものである。子どもは頼もしい底力をもっていることを実感する。

「よく遊ぼう はじけて自由に」

 カルタの後は、日本の遊びスタンプラリー。自由に好きな遊び場をめぐって思い切り遊ぶ時間である。こま、竹けん玉、お手玉、あやとり、竹でっぽう、竹馬、筆遊び、小さい子やハンディキャップのある子のためのお絵描きや新聞プールもある。中でも竹でっぽうや筆遊びが人気だった。竹でっぽうは、ポンッと気持ちのよい音がしてはじけるように木の実がとび出し、世界地図の的に当たるのが面白そうだった。

こまは、回せるまで何度も挑戦していた。ボランティアさん自身もしたことが無い遊びが多く、子どもと一緒に遊んで楽しんでいたのが印象的である。
 筆遊びは、超人気で順番待ち。思い思いに自由な発想で思いつく言葉や絵をかいて楽しんでいた。
 中には「Sou Brasileiro!!(ぼくブラジル人)」と胸を張って書いた子もいた。ブラジル人であることを誇りに思っいることに感動した。

「ゆたかな心と じょうぶなからだ」

 思い切り遊んだ後は、気持ちいい。遊びの中で子どもたちは、人と関わり、挑戦し、驚き、感動し、工夫し、豊かな心を育んでいく。遊んでいる子どもたちの表情は輝いていた。
 思い切り楽しく遊んだ後は、『食べて!』のコーナー。ブラジル串焼き、かき氷、そうめん流しを楽しんだ。スパイシーなブラジル串焼きのおいしいこと。子どもたちもガブリついていた。
 そうめん流しは、竹活用実行委員会の協力で、長い竹が2本も設置され、竹で作られた器や箸で食べた。流れてくるそうめんをすくうのが面白くてたまらない。みんな格闘しながら上手にすくって食べていた。日本ならではのそうめん流しだが、日本の子どもたちもあまり経験が無く、みんなが無邪気に楽しんだ食文化の交流だった。

午後は玉村町のマスコットキャラクターで大人気の「たまたん」も登場。みちくさkidsやプメハナメケアロハの子どもたちと一緒に歌ったり踊ったりして子どもたちを楽しませてくれた。

「友だちとともに 自分ものびる」

 午後は、外国の遊び。リズムに乗って竹の下をくぐるリンボーダンス。
 「挑戦したい人は、ステージに上がって!」と呼び掛けるとたくさんの子どもたちが駆け上がってきた。だんだん竹は下がってくるので難しくなるが、身体を反らして負けじと頑張る。観客も手拍子で応援する。日本の子も外国の子もハンディキャップのある子もみんなが挑戦していた。みんな真剣。本当に世界の子どもが一つになった感じがして胸が熱くなった。
 次は、「みんなで踊ろう!マカレナダンス」。日伯学園の子どもたちのリードでマカレナダンス。子どもたちは再び、ステージに駆け上がり、観客も立ち上がって一緒に踊った。会場全体が軽快なリズムに乗って踊り、みんな笑顔で大いに盛り上がった。

最後は竹の子楽団による竹太鼓の演奏で終了!

「きみもたいせつ ぼくもたいせつ」

 子どもも大人も大いに楽しんだ。日本とか外国とかの枠は無い。みんな一緒の地球人である。「国際こども遊びフェスティバル in 玉村」は、国の枠を超えた感動的な交流会となった。

<アンケートの子どもの声>

 バーベキューの串焼きがおいしかった。竹でっぽうがおもしろかった。音がおもしろかった。作り方を教えてほしい。筆遊びもおもしろかった。チョークで書いたのが楽しかった。カルタは、知らない友だちとやったけど、みんなと笑えたので心に残った。

<アンケートの大人の声>

 外国籍の子どもたちが違和感なく溶け込めるこの空間(世界)はすばらしい!やっぱり子どもは理屈じゃない。「遊び」を通してこそ、権利も国際交流も心身に刻まれるものだろうと実感した。


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