パートナー通信 No.60

目次
『パートナー通信』60号 &
子どもの権利条約批准20周年記念特集 ①


私と「子どもの権利条約」

 「60号&20周年」を記念して、寄稿をお願いしました。これまでの活動をふりかえり、また、今を考えながら、私たちの活動の未来を展望してゆきたいと思います。

6年生と「子どもの権利条約」を学び、
その精神を刻んだ卒業制作 関口信子

 なつかしく思い出深い学級通信を取り出して読んでみました。平成7年度玉村町上陽小学校で6年生を担任した時の学校生活を綴ったものです。通信には、底抜けに明るい子ども達と、自由で楽しい学校生活が記録されていました。あの頃は、職員会議でも熱い討議が交わされる時代でした。
 この年は、卒業学年ということもあり、大事なことは伝えておきたいと「子どもの権利条約」の学習にも取り組みました。
 その様子は通信で家庭にも届け、保護者にも一緒に考えてもらうようにしました。

「子どもの権利条約ってなあに?」

 「第2条 差別はされない、しない」の学習からスタートしました。その時の感想に、

『私は、子どもの権利条約ができているなんて知らなかった。そして今日初めて知った。このことをみんなが守れば子どもは幸せに暮らせると思う。もし、私が 差別されたらいやだ。でも、口だけで差別をしてはいけない!とかいう人がいるけれど、だいたいの人がきっと差別をしているんじゃないかと思った。どうして差別してしまうのかその理由が分かれば差別しなくなるに違いないと思った。』

と書いた子がいました。子どもなりに鋭いところを突いているなと感じ、身近で感じている差別を黒板に書き出してみんなで理由や心理を考えました。

「第3条 子どもにとって一番よいことを!」

 この時は、大人や先生へ望むことを訊いてみました。学校生活においても子どもにとって一番よい事を考えなければなりません。

  • [大] 何事も頭から怒らないでほしい。
  • [大] 疲れているときは、用を頼まないで。
  • [大] 少し、自由にしておいてほしい。
  • [大] 行きたい高校は自分で決めさせてほしい。
  • [大] 子どもの言うことはちゃんと聴いて。
  • [大] 大人の都合で子どもをあやつらないで。
  • [大] 近くに遊ぶ場所を作ってほしい。
  • [先] 宿題を減らしてほしい。
  • [先] 宿題を増やしてほしい。
  • [先] 休み時間になったら授業を長引かせないですぐに終わりにしてほしい。

など 条約で守ろう!と謳っている権利の内容が出てきたことに驚いたものです。 先生へは、宿題を減らすと増やす要望が出たので、子ども達と話し合い、土曜日は宿題無しで休養日にすることになりました。休み時間は、子どもにとって貴重な時間なのですぐに終わりにする約束をしました。

「第12条 自分の意見はどんどん言おう」
「第13条 何でも知り、表現し、伝えよう」
 この学習は、子ども達にとっても大事な「意見表明権」「表現の自由」だったので、口達者な子ども達は、燃えあがりました。
「日本は頭が固いんだよ!」
「先生!大人にも分かってもらいたいから今日の通信はこれだね!」なんて声も。
 学校も子どもの意見に耳を傾け、子どもが主人公の民主的な学校にしていかなければならないなと考えながらの授業でした。
 卒業を控え、子どもたちとも相談して条約の精神を綴った自画像入りの掲示板を卒業記念として制作することになりました。条文の精神を伝える文章作りに悩みましたが、群馬子どもの権利委員会からのアドバイスも頂き、以下のような文章にまとめて彫りました。

子どもの権利条約
  • 子どもは、よい環境で元気に遊び、豊かに学び、健康に育つ権利を持っています
  • 子どもたちは、大切にされ、だれからも差別されないし、差別しません
  • 大人は子どもにとって一番いい事を考え、子どもたちを助け、励まします
  • 子どもはどんなことでも自分の意見を自由に言え、大人はきちんとききます

 2畳弱の大きな掲示板は、児童玄関に設置され、今も条約の精神を訴えています。
 新年度、新しく赴任した校長が、「子どもの権利条約が掲げられている学校に来て身の引き締まる思いです。」と挨拶し、制作した成果を実感する思いでした。


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