パートナー通信 No.61
2015年度『総会』議案:
「2014年度活動のまとめ」(原案・概要) 世話人会・事務局:加藤彰男
「2014年度活動のまとめ」(原案・概要)
1 2014年度総会第二部企画:トーク&トーク『いま フクシマの子どもたちは…そして群馬では』
前年度と同様に総会第二部企画を「ぐんま教育文化フォーラム」との共同企画で行いました。
当日は、福島県の高校に勤めている松本佳充・鈴木裕子両先生から、ふるさとを奪われて3年が経過した福島の人々、とりわけ子どもたちが向き合っている現実やさまざまな思いが報告されました。参加者からも複雑な思いや復興への願いが率直に語られました。
◆ふるさとや学びの場を奪われるという困難な状況をつぶさに知ることができました。また、そのような状況の中で、生まれ育った地域を見つめなおし、地域に入り、人々とのつながりを作り出すことで確かな成長を遂げる生徒たちの姿から、「学ぶ」ことの意味を考えることができました。しかし、東日本大震災そして東電福島第一原発の事故から4年経った現在でも、復興の歩みは遅く、汚染水の流出や廃棄物の処理の問題をはじめ原発事故はいまだに収束からは程遠い状況で、群馬県内では、およそ2000人の方がたが避難生活を続けています。いまだに高い放射線量が測定されているところが県内にもあります。とりわけ子どもたちの命や生活のへ影響が心配されています。
2 再改訂版パンフレット『わかりやすく言いかえた子どもの権利条約』、新版『子どものけんりカルタ』の普及
2014年1月に、再改訂版パンフレット『わかりやすく言いかえた子どもの権利条約』、新版『子どものけんりカルタ』を発行しました。2月にはホームページに『パンフ』『カルタ』の紹介を掲載し、3月には県庁記者クラブで『パンフ』『カルタ』の発行についての記者会見を行い、各紙に紹介記事が掲載されました。新聞報道の直後に県内各地から、問合せ、注文が続きました。また、世話人メンバーがいろいろな機会に積極的に紹介をしたり、ホームページを見てなどで、大阪、京都、岩手などからも注文が寄せられました。『パンフ』『カルタ』を手にされた方がたからは、「平易さに驚いた。/とてもわかりやすい訳で、多くの人に読んでもらいたい/「絵札」の絵も「読み札」の言葉も子どもたちにスッと入っていく」などの声が寄せられ、全国的な反響の広がりも見えました。
『パンフ』は、全会員に配布したほか、行政関係では、前橋地方法務局人権擁護課、群馬県および自治体訪問をした全市町の人権・青少年・子育て支援関連の各部課と教育委員会に寄贈しました。多くの市民に活用してもらえるようにと県内の全公立図書館にも寄贈しました。みどり市では平成26年3月発行のみどり市人権冊子『みんなともだち』に『パンフ』の中から12項目を抜粋して掲載しています。盛岡市の女性の方からは、若者たちと学ぶテキストにしたいと50冊の注文がありました。
また、『カルタ』は、前橋地方法務局人権擁護課、群馬県人権男女共同参画課、群馬県立図書館などへ寄贈しました。『カルタ』については、7月末の段階で在庫切れの予測が出され、8月の世話人会で300セットの増刷を決めました。
◎『カルタ』活用の取り組み
- 「足利っ子わいわいフェスタ」
カルタ本体を10セットほどを持参し、喫茶・軽食室の中にある「子どもの権利条約コナー」の一角でカルタ大会を楽しみました。苦心して作ったショートバージョンの読み札と親しみやすい絵札が、子どもたちの耳と目にすっと入っていくことが実感できました。 - 子ども日本語教室「未来塾」(伊勢崎市・NPO)
指導員としてボランティアで参加している会員が、遊びながら学べるものとしてカルタを使いました。子どもたちはたいへん気に入って、繰り返してカルタ取りを楽しんでいます。 - 「国際こども遊びフェスティバルin玉村」
「玉村町協働によるまちづくり提案事業」のひとつとして取り組まれました。フェスティバル実行委員会のメンバーとして会員が中心的な役割を果たしました。子どもたちにとって一番身近な「遊び」を通して国の枠を越えた心の交流や相互理解の場を作り、お互いを尊重し、支え合う多文化共生の素地づくりを目指して事業計画が作られました。いろいろな国の子どもが集まるのだから、世界中の子どもの幸せを願って結ばれた「子どもの権利条約」への理解を深めてもらうことも大切なねらいとして位置づけられました。当日は、子ども大人あわせて約250人が参加しました。その後、『パンフ』『カルタ』が町内すべての小・中・高校、児童館、公的な子ども支援機関、ファミリーサポートセンター、図書館に提供され、実行委員会から人権学習や親子行事などでの「出前授業」を呼びかけ、これまでに5校の小学校で実施しています。 - 「フェリーチェインターナショナルスクール」
玉村町の「遊びフェスティバル」には同校の先生・生徒も参加していて、人権・国際理解教育の一環として『カルタ』の出前授業を行いました。 - 「Annakaひだまりマルシェ」
冬休み宿題プロジェクトに集まったった子どもたちが、勉強の合い間にボランティアの高校生と一緒に「カルタ」で遊びました。子どもたちだけでなく高校生たちも「カルタことば」に強い関心を示しました。
◆手にとって読んだり、一緒に遊んだ人たちからは、『パンフ』『カルタ』のどちらもにも期待通りの反響が寄せられています。「子どもの権利条約」を広めていくためのとても力強い発信力を持っていることが証明されています。玉村町の取り組みが一つの典型を作ったと言えます。子どもたちの集うイベント、あるいは学校・学童クラブなど、さまざまなところに積極的に『パンフ』『カルタ』を持って行き、広めていくことが求められています。
3 「子どもの権利条約」批准20周年に関わって
「子どもの権利条約」批准20周年を記念して、「DCI日本」及び「子どもの権利条約市民・NGO報告書をつくる会」が、2014年12月6日・7日に集会を開きました。群馬子どもの権利委員会から、大浦代表と加藤事務局長が参加しました。
「DCI」の集会は、『子どもの現状と「条約」実践の意義』と題して、第1部「東日本大震災と子どもの権利、第2部「育ちの場と子どもの現状:子育ての場で何が起きているか」、第3部「条約の実践とDCI運動の意義」の3部構成で、石巻市立大川小学校卒業生、福島県浪江町の教師、原発避難住民、臨床心理士、養護教諭、保育士、ユースサポートのNPO代表などから、それぞれがおかれている現状と辛さや、苦悩、貧困などが率直に語られました。
「つくる会」の集会は、『子どもの権利条約と現代の課題』と題して、「子育て・保育新制度をめぐる問題」、「ゼロトレランスに基づく生活指導の問題」、「条約31条:休息・余暇・遊びなどにかかわって日本の子どもが直面する問題」、「子どもに対する暴力の問題」、「子どもの貧困の問題」などについて、保育士、弁護士、学者、研究者から、子どもたちのまだまだ困難な現状とそれを改善しようと努力している取り組みが報告されました。
◎群馬子どもの権利委員会としては
記念行事などは企画しませんでしたが、『パートナー通信』No.60に、「『パートナー通信』No.60&「条約批准20周年」記念」として、これまでの活動を振り返り、今を考えながら、活動の未来を展望する特集を組みました。No.61以降へ継続掲載する予定です。
◆「DCI日本」、「つくる会」の集会で報告された全国の状況や県内の子どもたちの状況には、「子どもの権利条約」や「国連からの最終所見・勧告」に照らして、まだまだ多くの克服されるべき課題があります。これから取り組む「つくる会・第4回代替的報告書」づくりに向けた「群馬の基礎報告書」づくりを通して、群馬の子どもたちの現状をリアルに把握するとともに、子どもたちの権利擁護のために活動しているさまざまな実践を共有し、国連に届け、共通の財産にしていくことが求められています。
4 地域の活動との交流
「保育センター:全国給食セミナー等」、「Annakaひだまりマルシェ:『変身』上映会等」、「あしなが育英会:STOP貧困・北関東信越ユースミーティング」、「邑楽館林教育ネット:学童保育指導員研修会」、「赤松プロジェクト:子どもの詩コンサート」、「第53回群馬県母親大会」など、県内各地で行われたざまざまな集会や学習会に参加して交流を深めました。
5 組織活動
会費納入促進、会員増が課題となっています。