パートナー通信 No.63
地域の活動紹介―②自然の中で学ぼう!体験しよう! 水玉こどもの森まつり
地域の活動紹介―②
自然豊かな森で思いきり遊ぼう!
玉村町と新町を結ぶ烏川岩倉橋の下に、自然豊かな「岩倉自然公園水辺の森」があります。水辺の森は、木陰がとっても涼しく、小川も流れていて子どもの遊び場としては絶好の場所ですが、まだ広く知られていません。
そこで、自然の中で遊ぶことが少なくなった子どもたちに思い切り楽しく遊んでもらおうと「水玉こどもの森まつり」を企画しました。水玉とは、水辺の森と玉村をドッキングさせたもので、美しい自然の公園を表しています。
この森まつりは、地域に愛される公園づくりを目指して発足した「水辺の森を愛する会」にこどもフェスティバル実行委員のメンバーも加わり、実現したものです。
このイベントの企画段階でベースにしたのは、昨年視察した足利の「わいわいフェスタ」です。子どものイベントを従来のお招き型から子ども参加のイベントづくりに発展させたいと考え、役場や児童館、住民活動サポートセンター、地域づくりの団体に働きかけ、事前研修と視察を行いました。
「わいわいフェスタ」では、子どたちが主体的に参加し、見事に仕切っていました。生き生きとした子どもたちの姿に視察団一同感動して帰ってきました。
この視察は、まちづくりを担う人たちに意識変革をもたらし、子どものイベントを企画するときは、子ども主体で考えようとする姿勢が出てきました。
そこで、「水玉こどもの森まつり」では、子どもの権利条約の「ゆっくり休んだり、思いきり遊んだり、文化や芸術にふれたりする権利」や「自由に表現したり、参加したりする権利」が守られるように工夫し、子どもの「やりたい!」を応援する形で自由に楽しめるものにしました。
また、ウクレレやフラダンスを習っている子どもたちから教えてみたいという声も上がり、子ども先生によるウクレレとフラダンスの体験コーナーができました。
内容は、大きく分けて4つあり、子どもたちが自由に選択して行き来できるようになっています。
①自然の中で思いきり遊ぼう!
・川遊び ・泥んこ遊び
・水鉄砲 ・生き物探し
②いやしの森でのんびりリラックス
・のんびりお昼寝 ・木陰で紙芝居
・木陰でお絵描き ・森の妖怪体操
③作って遊ぼう!ネイチャークラフト
・木や木の実で作る木工工作
・竹やひょうたんで自由工作
④子ども活躍コーナー!
・ボランティア体験とスイカ割りチャレンジ
・ちびっこ先生によるフラダンス体験
・ちびっこ先生によるウクレレ体験
猛暑の中、子ども達が集まった!
当日は、連日の猛暑日で、あまりの暑さに参加者は来るのか?と心配でしたが、次から次へと網を手にした親子やリュックを背負った子どもたちがやってきました。ガールスカウトも野外活動で参加しました。それぞれ木陰を探してシートを敷き、自分の基地を作って自然遊び開始です!
川に入って草の茂みを網ですくうと小魚や川エビ、ザリガニなどが獲れて子どもたちは大喜び。もっといないか?と真剣に探している親子もいました。
竹で作った水鉄砲で遊ぶ子どもは、服をビッショリにして飛ばしっこです。オムツをしている小さな子まで水に入って大はしゃぎ。 夏の水遊びは、子どもにとって最高の遊びであることを満面の笑顔が物語っていました。
セミの鳴き声が響く中、虫取り網をもってトンボを追いかけている子もいました。木の枝にはセミの抜け殻がいっぱい。夏の森は、生き物の宝庫でもありました。
木陰が涼しくてとても気持ち良く、シートの上に寝転んでリラックスしている父子の姿もありました。
「すっげえ、気持ちいいなあ」とつぶやく声。このような癒しの時間が子どもにも大人にも大事なのだと思います。
小さな子どもたちには、木陰でお絵描きが人気でした。ここは、大学生のボランティアさんが相手をしてくれました。小さいころから自分を受け止めてくれる相手がいること、温かく見守るやさしい眼差しのあることが子どもの心を安心させ、心地よい居場所になるのだと教えてくれる光景でした。
ネイチャークラフトは、竹や木や実を用意して自由に作れるようにしました。ひょうたんに楽しい絵を描いたり、竹で貯金箱やシャベルを作ったりしている子もいました。木工工作は、キットが準備されていたので作った作品をさらに木の実や枝で工夫し、楽しいものに仕上げていました。
栗の木の下では、ちびっこ先生によるウクレレ体験で、親子が楽しそうに教わっていました。めったにさわることのないウクレレが弾けるのでうれしそうです。子ども先生は、親子と向き合い、ていねいに教えていました。簡単バージョンの「かえるのうた」が弾けるようになり、満足の笑顔でした。
そのとなりは、ちびっこ先生によるフラダンス体験です。首にレイをさげると気分はハワイアン。軽快な音楽に合わせてフラダンスを楽しんでいました。
奥の木陰では紙芝居が始まっています。日本昔話調の語りでお話の世界に引き込まれていました。子どもたちには、たくさんの文化に出会わせてやりたいものです。
思いきり遊んだ後は、水分補給も兼ねたスカ割りです。スイカ割りは、高学年や中学生がボランティアで仕切ってくれました。
「スイカ割りやりたい子は集まってください!」の呼び掛けに、たくさんの子どもたちが集まりました。目隠しをしてチャレンジです。小さな子には、スイカの近くまで寄り添うなど、やさしい心遣いをしていました。このようなボランティア体験が支え合いの心や社会性を育てるのだと思います。そして、社会参加の経験が子どもの世界を大きく広げるのです。
スイカが割れると歓声が上がり、拍手喝采!参加者全員に配られました。みんなでほおばったスイカのおいしかったこと。何度もおかわりをしている子もいました。
「森の妖怪体操」も楽しみました。これは、理学療法士さんによる健康体操で、町の病院が社会貢献活動として参加してくれたものです。妖怪ウオッチの音楽に乗って大人も子どもも一緒に体を動かしました。
森の空気はとても心地よく、身も心も浄化されるようでした。
自然の中で思いきり遊び、気持ち良さを体感した子どもたちの顔は、輝いていました。
「すごく楽しかった!来年もまた来るね!」と元気な声を残して帰って行きました。
「来年はお手伝いさせて下さい!」の申し出まで届いてうれしい反響の森まつりでした。
振り返ると、キャッチ&リリースやキットの件などまだまだ検討課題が残っていますが、一歩前進した感じがします。
これからも「子どもの最善の利益」の視点に立って考えていきたいと思っています。