パートナー通信 No.64

地域の活動紹介―②無料学習塾「ひろせ川教室」の
開設に向けて群馬中央医療生協健やか子ども支援チーム」のお話から

 

 群馬中央医療生活協同組合では、地域における「子どもの貧困」問題に向き合うべく、無料学習塾の開設に向けた取り組みを進めています。勉強のつまずきを解消し、学習内容の定着を目指すというものです。まず、子どもたちがわからないことを安心して質問できる環境作りから始めたい。すでに子ども9名とボランティア5名の参加申込がある、とのことです。

 

 昨年12月10日、世話人会で前橋協立病院に出向き、小児科の深澤尚伊先生を中心に、病院内に組織された「健やか子ども支援チーム」の8名のスタッフとの約1時間の貴重な懇談で、開設に向けた具体的なお話を伺いました。

「ひろせ川教室」の計画概要

◆参加対象者
 小学校に通う生活保護世帯、就学援助世帯の子どもたち。1年生~6年生まで全学年。
◆時間
 まずは週1回、3時間〈15:30~18:30〉からはじめていきます。参加人数や要望に合わせて開催頻度や時間は調整していきます。
◆活動内容
 生活保護世帯、就学援助世帯の子どもたちへの学習支援。学校の宿題やプリント等を用いて国語、算数を中心に学習指導を行います。

昨年の夏からの取り組みの中で

  • ◎15年5月、6月、彩の国子ども・若者支援ネットワーク代表理事・白鳥勲さんの講演「子どもを誰ひとり見捨てない温もりあふれる社会に」から多くを学び、さらに他県での取り組み も参考にしながら、具体的な内容の検討を進めている。(マンツーマンの指導を基本体制に)
  • ◎まず当該小学校との連携を密にして、軌道に乗ってきたら対象範囲を拡げてゆく。校長先生との懇談を通しての申し入れも好意的に受け止められ、案内のチラシ配布等についても全面的に協力を約束してくれている。
  • ◎支援する側の体制づくりに関しても、これまでの個人的人脈を通しての依頼に対して、それぞれの方々から友好的な反応が得られている。 さらに職員有志、教員OBの生協組合員さんや全群退教の先生方へ働きかけ、近隣の大学や市教育委員会等への申し入れも検討中です。
  • ◎具体的な運営に当っての事務局体制の強化も 進められ、今年2月に教室オープンを待つところまできました。

安心できる居場所づくりに

 緊急かつ大きな課題に向けての着実な取り組みを伺って、私たちも新しい年への活動に大いなる希望をつなぐことができました。と同時に支援体制への協力のメッセージも込めて、世話人の側からも次のような感想が出されました。

  • ◎学習の権利が保障されず、不登校やひきこもり、低学力のまま困っている子どもの後には困っている家庭があり、親子共に孤立した状況に追いつめられています。
  • ◎教室の開設を待ちわびたようにやって来て、学習に取り組める子どもばかりではないかも知れません。長いこと不登校だったり、ひきこもっていた子は、その状態から一歩外へ踏み出すこと自体が大きなハードルになっています。そのような子がチラシを見たり、友だちから誘われたりして、「ひろせ川教室」へ行ってみたいなと思えるような場所づくりも求められているかと思います。学習意欲以前の助走のための時間や空間への配慮も欲しいような気がします。
  • ◎何かおいしいものが食べられたり、自由にあそべる要素もあって、無条件にほっとできる場所。心の底にうっ積した心配事をさりげなく聞いてもらえたり、自分がそこに居て丸ごと受け止めてもらえると実感できるような安心な居場所、他者と一緒に居ることや会話をすることが心地よいと感じられる場所、そんな中で孤立閉塞状態から解放されていく時、それぞれのレベルに応じた学習への意欲が芽ばえてくるのではないでしょうか。そこまで待ってやれるゆとりを・・・など、少し欲張り過ぎのような気もするのですが・・・。

     本来子どもは無限に発達可能な存在だということを信じたいと思います。お忙しいところ、貴重なお時間とお話をありがとうございました。

(文責:小林 美代子)


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