パートナー通信 No.66
独立した主体と筋の通った連帯 ―全国組織との関係について― 代表 大 浦 暁 生
地域を主体に世界と結ぶ
私たち群馬子どもの権利委員会は1993年の設立以来、主として群馬で活動するとはいえ、独立した主体的な組織として、子どもの権利の擁護と発展のために微力を尽してきました。
その一方、私たちは「DCI日本」(Defence for Children International, Japan)と「子どもの権利条約市民・NGO報告書をつくる会」(以下「つくる会」)という2つの全国組織に加盟して、日本各地の仲間たちと交流し、さらには世界とも結びついていました。国連に提出する市民サイドの報告書づくりに参加し、群馬の子どもたちの実情を国連の委員たちに伝えてきたのです。
ただ、群馬子どもの権利委員会は「DCI日本」のセクション(支部)になるという誘いを断り、あくまでも独立した組織としての主体性を貫き通してきました。子どもにもっともよいことを何よりも優先し、そのためにはどの組織(たとえば「子どもの権利ネットワーク」)とも連帯できるように、すべてと等距離の関係を保ちたかったからです。
全国組織の混乱と群馬の対応
ところが2014年の10月から12月にかけて、「DCI日本」と「つくる会」の両全国組織に不明瞭な会計処理のあることが明らかになり、私たちは納得のゆく説明がなされるまで両組織への会費納入を留保することにしました。また、「つくる会」が「DCI日本」から完全に独立して恒常的な別の組織になったことに伴う会費負担増を軽減するため、両方に加盟する会員の会費をそれぞれ半額にするよう要請しました。
一方、「つくる会」の独立に伴う両組織の関係について、「DCI日本」の内部で意見の対立が生まれていました。しかし、こうした組織や会計の問題の解決が期待された2015年7月4日の「DCI日本」総会は、代表側の強引な議事進行で紛糾し、結局「DCI日本」は「CRC日本」と「子どもの権利・再建」の2つに分裂して今日にいたっています。反面、「つくる会」の会計処理は、決算の修正版が出るなど、正常化に向かっているように思われます。
このような状況を受けて、群馬子どもの権利委員会は世話人会で論議を重ねました。私たちとしては、分裂した「DCI日本」が1日も早く再統合してほしいのです。論議のすえ、2016年5月21日の今年度総会で、つぎのように決定しました。
- 「DCI日本」が再統合されるまで、分裂したどちらの組織にも加盟しない。
- 「つくる会」には加盟するが、会費の支払いは2016年度からとする。
急がれる基礎報告書づくり
こうして決定された私たちの基本姿勢と組織対応は文書にされ、6月9日の世話人会での承認をへて、関係する3つの組織に即日発送されました。「CRC日本」と「子どもの権利・再建」からはなんの返事もありませんでしたが、「つくる会」は会長の堀尾輝久さんから電話があり、群馬の立場を尊重する意向が確認できました。
電話では、私に「つくる会」の共同代表になってほしい、という申し出も受けました。新設される「地域」担当の共同代表に、ということです。地域の活動を大切にする方針の表れでもあり、引き受けることにしました。
活動方針、予算、人事などを決める「つくる会」の総会は6月18日、JR田町駅に近い東京工大イノベーションセンターで開催され、私と加藤事務局長が参加しました。全国各地から集まった人たちの活動報告は聴きごたえがあり、たとえば北海道の札幌などでは地域の「子ども白書」づくりが進んでいます。報告書作成の日程も明らかにされ、基礎報告書は本年11月が締切です。あまり時間がありません。統一報告書は来年9月に採択され、年末までに英訳完了の運びとなります。