パートナー通信 No.66

2024年10月14日

世話人会だより 

「答礼人形 『ミス群馬』 里帰り展」のこと 加藤 彰男

 前橋市の広瀬川、立川町通りと千代田通りが交差するところに諏訪橋があります。諏訪橋から上流100㍍ほどのところに萩原朔太郎記念「水と緑と詩のまち前橋文学館」があります。
 前橋文学館が毎年開催している『戦争を忘れない展』の一環として答礼人形『ミス群馬』里帰り展が開かれます。展示期日は、今年の7月23日(土)~ 8月21日(日)〔水曜日休館〕9時~17時です。

 第一次世界大戦後、アメリカでは、日本からの移民の活動への反発から排斥運動が起こっていました。昭和2年(1927年)、親日家のギューリック博士は、「日米の友好は子どもたちから」という考えのもとに、アメリカの子どもたちから日本の子どもたちに人形を贈ろうという運動を起こしました。実業家渋沢栄一氏が世話役となり、友情人形、通称「青い目の人形」12,739体が日本全国の小学校を中心に贈られました。
 その答礼として各都道府県から1体ずつの素敵な日本人形がアメリカの子どもたちに贈られました。『ミス群馬』さんもその一つです。
 その後、昭和16年(1941年)太平洋戦争に突入すると、「青い目の人形」たちは敵性国人形の名のもとに焼却・破壊の対象となりました。
 昭和48年(1973年)のNHKのドキュメンタリー番組で、旧利根東小学校の「青い目の人形・メリーさん」が辛くも生き残った物語が放映され、これをきっかけに、日本中の幼稚園や小学校で1体、また1体と「青い目の人形」が出てきたのです。現在、全国で321体、群馬県内では19体(残存率全国一位)の「青い目の人形」の健在が確認されています。この「メリーさん」の物語を、私が所属する「新英語教育研究会」の先生方が高校用検定教科書『COSMOS English Course II』(三友社出版)の教材として作り上げました。私も少しお手伝いをさせていただいた関係で「メリーさん」や『ミス群馬』さんとの繋がりができました。

 さて、その『ミス群馬』さんですが、長い時の流れの中で、その行方がまったく分からなくなっていました。ところが、今年の4月、『ミス群馬』さんが、89年の歴史を経て、始めて日本に里帰りしていることが分かりました。現在の持ち主(アメリカの方)の依頼で、東京浅草橋の人形店「吉徳」さんに「入院治療中」ということでした。
 この知らせを受けて、この機会を逃すと、少なくとも自分の生きている間には二度と『ミス群馬』さんにお会いできないだろう。「ぜひとも群馬の地に里帰りしてほしい」と願った私が、勝手ながら県や前橋市の文化財や国際交流担当の方々、そして「吉徳」さんにお願いして回りました。幸運にも関係の皆様のご尽力により、前橋文学館「戦争を忘れない展」の中に今回の「里帰り展」を実現していただけることになりました。
 ぜひ、皆さんが『ミス群馬』里帰り展にお出かけくださるよう、「世話人会だより」の欄をお借りしてご案内させていただく次第です。

群馬子どもの権利委員会
〒371-0026 前橋市大手町 3-1-10 教育会館3階
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URL https://gkodomo.fc2.page/
<緊急連絡先:事務局長・加藤彰男
 Tel. & Fax. 0270-20-2059>


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