パートナー通信 No.70

世話人会だより 

保育の現場から

田辺 純子

 春、初めて保育園に預けられた子どもたちも、日々の保育士の働きかけにより徐々に慣れて、笑顔とその子らしさが見えてきました。保育園の庭では泥団子づくりや、水を流して川遊び・水遊びが始まり、プールを出した園では、蒸暑さも吹き飛んでしまうほどの子どもたちの歓声が響いています。どの場面でも、その瞬間を精一杯生きる子どもたちは元気いっぱいです。

 一方、保育園や子どもたちを取り巻く制度的な環境に目を向けると、平成27年度から「子ども子育て新制度」として大きく変わりました。また平成29年度からは社会福祉法人制度が大きく変わり、待ったなしでその対応に追われてました。
 そして「保育園落ちた!日本死ね!」の書き込みから、待機児問題や保育士処遇の問題は国を挙げての大きな社会問題になっています。新聞各社でも毎日のように保育の問題が取り上げられ、かつてはなかった状況が見られています。

 「一億総活躍」で国が出してきた改善策の内容は、全産業の平均賃金格差10万円はあるといわれる中で、ごく一部の職員(各園2~5人のキャリアが認められた人)を4万円アップし、全体にはたったの6000円弱の処遇改善というものです。これでは不平等な処遇改善となり、現場では、保育に影響するおそれを強く感じています。2~5人の一部ではなく、保育士全体をしっかりと抜本的に引き上げる処遇改善こそ緊急な課題です!!

 さらに、実際には配置基準以上に保育士を配置して(基準の保育士だけでは、一人ひとりの発達を促し、保護者にも丁寧な働きかける保育は難しい。)保育が行われていますが、国が財政的に手当としているのは、基準上必要とされている職員分だけです。その少なく見積もられた人件費を多くの職員で分け合わなければならない状況です。実質的に保育士の処遇を改善するためには、配置基準も合わせての見直しが、どうしても必要だと思います。

 保育園・幼稚園等の子どもを取り巻く保育労働者の価値を、社会全体でしっかり見直し、認めていただきたいと思います。一日中汗水流して子どもたちと向き合い、心を込めて仕事をしたその労働で生活が維持され、やりがいや働く喜びを感じながら、長く働き続けられる職場環境にしていけるように、みんなで声を上げて行かなくてはと思います。

 子どもたちが生き生きと育つ権利が保証されることや、保育士が元気に保育に向かえることは、保護者や社会全体の願いとも一致しているはずです。
 いつでもどこでも、訴えかけていきたいと思います。

❤ 田辺さんには、保育センター推薦の世話人としてご活躍いただきましたが、石原理恵子さんと交替することになりました。長い間のご尽力に心より感謝申し上げます。また、芦田朱乃さんが世話人に加わっていただくことになりました。石原さん、芦田さん、よろしくお願いいたします。

群馬子どもの権利委員会
〒371-0026 前橋市大手町 3-1-10 教育会館3階


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