パートナー通信 No.71

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ぐんま少年少女センター
第53回ぐんま少年少女キャンプに行ってきたよ!
芦田朱乃(ぐんま少年少女センター事務局長)

 こんにちは。ぐんま少年少女センターです。私たちは子どもの自治、異年齢集団での育ち、外遊び・集団遊びなどをたいせつにしながら、キャンプやあおぞら学校などの活動に取り組んでいます。今回はサマーキャンプのようすを紹介する機会をいただきありがとうございます。子どもたちの生き生きとした姿をお伝えできれば幸いです。

2017年のキャンプ

 今年は8月11~14日に黒保根の利平茶屋森林公園でキャンプを行いました。参加したのは子ども(3歳~中学生)25人、高校生・大学生11人、大人25人の計61人でした。
 あいにく雨の多い4日間でしたが、薪に火を付けるところからの食事作り、料理コンテスト、きもだめし、川遊び、キャンプファイヤーなどの活動をして、思いっきり楽しんできました。

ドキドキの1日目

 キャンプはバスから始まります。参加者のいる各地域(今年は渋川、前橋、伊勢崎、桐生)をまわって子どもたちを乗せ、レクリエーションをしながらキャンプ場へ向かいます。毎年来てくれる常連の子たちは久しぶりの再会にニコニコ、キャーキャー。初めて参加したTは緊張した面持ちでバスに乗り込みましたが、高校生が話しかけてくれたので、少しずつ打ち解けながら1時間ほどのバスの旅を過ごせました。ぐんまセンターでは高校生から「指導員」といい、子どもたちと一緒に遊んだりしながら活動をサポートする役割を持ちます。
 キャンプ場に到着すると、まずは班分けと班づくりです。キャンプの4日間は基本的に班で活動します。全員が顔を合わせるのはこのときが初めてなので、自己紹介からはじまって、班名や班長などの役割を決めます。
 また、キャンプ村の生活をスムーズに行うための係の仕事を班ごとに請け負います。たとえば、食事作りの前に薪の束をもらってきて班に配る係、全体イベントのときに集合の声かけをする係があります。毎年の一番人気は食事の材料を配る係です。お店屋さんごっこのようで楽しそうと、今年も2班が名乗りを上げ、じゃんけんで決めていました。
 最後に、中学生だけがなれる「自治委員」という仕事があります。学校でいう生徒会のようなもので、全体イベントを企画したり、キャンプ村で困ったことがあったらみんなをリードして解決策を考えたりします。この役は選挙で決めます。4日間どんなキャンプにしたいか抱負を述べて、子どもたちが1人1票投票します。今年は中2男子のRと中2女子のCが立候補して選出されました。

ぐんまセンターキャンプの特徴

 私たちのキャンプにはいくつかの特徴があります。まず、プログラムのほとんどが白紙です。子どもたちが何をしたいか話し合って決めます。山登りや川遊びをしたいと決まると、指導員集団や本部に子どもたちの要望が伝えられ、大人たちが必要な準備や安全確保をしてイベント実施というはこびになります。他の班と広場で遊びたいという希望があれば、班長を中心に相手の班を誘いにいきます。話し合いがうまくいかないリスクもありますが、指導員がサポートしつつ、自分たちで決めるというプロセスをたいせつにしています。
 子どもの仕事が多いのも特徴のひとつです。仕事をさせるのは、主体的に参加してキャンプの主人公になってほしいからです。仕事をして活躍し、他の人からアテにされることで、自分の居場所を作り、自信をもって輝いてほしいからです。楽しいことばかりではないけれど、自分から仕事を請け負って最後までやり切った子どもは大きく成長します。そしてその陰には、子どもたちを見守り、はげまし、たくさんほめてくれる指導員の姿があります。
 一番の特徴は異年齢で班を作るところです。小3から中学生までの班員と、高校生以上の指導員がいることで、それぞれ違うレベルの仕事を持ってキャンプ生活を作っていきます。大きい子は小さい子の面倒を見て、小さい子は大きい子にあこがれてがんばり、そのあこがれが大きい子の自信になって…と、お互いにいい影響を与えあっています。

最初の難関、食事作り

 キャンプ最初の難関は1日目の夕食作りです。何回も参加している子でも、薪に火を付ける機会は今どき他にありませんから、コツを思い出すまで大変です。今年は雨で薪が湿っていて余計に苦労しました。最初の火種を作るコツ、湿った薪の乾かし方、翌日まで湿らせない管理方法などをベテランの指導員に教わりながら悪戦苦闘。食材を切るほうも、包丁に慣れていない子が年々増えていて、スイスイとは進みません。手元がおぼつかない子には指導員が後ろから手を添えて、丁寧に教える姿が見られました。
 できあがったハヤシライスは、全部の班に試食に回ったMの話によれば「1日目にしては今年は米の炊き方がうまい!」ということで、全班完食でした。

たいくつを吹き飛ばした2日目

 今年は雨が多く、たいくつをどう克服するかという課題もありました。1日目はずっと雨、2日目もいつ降り出すかわからず、晴れたら山登りという希望が出ていたのですが、行けませんでした。しかしそんなことではメゲません。ある班は、班員の持っていたトランプでトランプ大会を始め、別の班はもう1つの班を誘って、雨が降り出す前に広場で鬼ごっこなどをして遊びました。臨機応変な発想はさすが子どもです。
 さらに、生き物大好きな小2のKが見つけたヘビをすかさず大学生の指導員がつかまえ、即席の観察会も始まりました。子どもも大人もおっかなびっくり、でも興味津々でなでたりしていました。「爬虫類ぜったいムリ!」とダッシュで逃げ、数十メートル離れてようすをうかがう子もいましたが。
 2日目の夜には自治委員企画のイベント、料理コンテストときもだめしがありました。コンテストでは、夕食用の食材から各班その場でメニューを考え、調理して審査員に提出。じゃがいもを薄くスライスしてピザ生地にする班や、キャンプ中は揚げ物が出ないからとコロッケに挑戦する班があり、それぞれ趣向を凝らしていました。完成後は別の班のメニューを試食しあっていて、各班の団結が深まるだけでなく班を越えて仲良くなれるいいイベントでした。
 すっかり仲良くなったところで次はきもだめし。自治委員が中高生におばけ役を依頼し、中高生プロデュースのイベントとして実施されました。キャンプ場の奥のほうにある遊歩道を使い、ところどころにおばけがスタンバイ。参加者全員で怪談を聞いてから遊歩道に向けて出発しました。後で聞いたら料理コンテストの合間などに手分けして下見や準備をしていたそうです。また、怖いのがきらいな子の仕事として、ギターを弾ける人と歌をうたいながらゴール地点でみんなを待ち、怖さをなごませるという仕事も用意されていて、さすが中高生と感心しました。

ついに晴れた3日目

 3日目の朝、ついに太陽が顔を出しました。このときを待ち焦がれていた全員の力が発揮され、またたく間に川遊びの準備が進められていきました。本部は安全対策と防寒対策。子どもたちはこれまでにない速さで朝食を済ませ、着替えを準備しました。

 連日の雨模様で気温が低く、水温はさらに低かったのですが(15℃くらい)、子どもたちは元気です。準備よく水鉄砲を持ってきた子もいれば、たらいをかき集めて水のかけ合いを始めた子もいました。川底に石を積んでダムを作る方法を教わってダムを作る子もいれば、水辺の生き物を観察する子もいて、それぞれ興味のあることに熱中していました。
 この日の夜はもう最後のキャンプファイヤーです。毎年、あっという間だったような、もう1週間もみんなと一緒にいるような、不思議な感じがします。あいにく開始時刻の30分前から雨が降り始め、火を付けることはできませんでしたが、テントの下でぎゅうぎゅうになりながら「スタンツ」という余興の出し物を披露したり大きな声で歌をうたったりするのは、ものすごい一体感があって印象深い思い出になりました。

最終日と閉村式

 最終日は帰りの準備がほとんどですが、終わりの集いという式典があります。最後に各班のがんばりをたたえ、歌をうたって、全員で握手をします。4日間のあれこれが胸にこみ上げ、涙のフィナーレです。

 2週間後の8月末には閉村式という会も行い、キャンプ中にやった遊びをしたり、キャンプの写真をスライドショーで見たりしました。今年は参加者の9割が閉村式にも来てくれ、心に残るキャンプだったことがうかがえました。
 最終日に書いてもらった感想文が冊子になって配られました。自治委員を務めたRは、「たいへんだったけど全部自分たちで決められて楽しかった」と書いていました。今年のRの活躍を見て自治委員にあこがれた子はきっと多かったと思います。こうやって毎年つながってくれると嬉しいです。


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