パートナー通信 No.77

 世話人会だより 

「今こそ こどもの権利を こどものもとへ」

清水 紅 

 世界人権宣言70周年過ぎた、この年、「食事も与えられず、反省文を書かされ」亡くなった5歳の結愛ちゃん、「周りの大人に助けを求め続けていた」にもかかわらず絶命した10歳の心愛ちゃん。親による虐待で幼いこどもの命が失われ、誰もが胸をしめつけられる思いをしている。それと共に皆が出口のない気持ちで憤っている。
 行政、児童相談所、警察、学校、親戚、近隣、誰か何かできなかったのか。各システムは機能しているのか。誰も助けられなかったのか。救えなかったのか、救わなかったのか。考えると苦しくなるようだ。
 いずれにしても今こそ、国連の『こどもの権利条約』をこの国に大きく、大きく掲げたい。2019年2月7日、国連子どもの権利委員会は、1 月に実施された日本への審査を踏まえ、頻発する子どもへの虐待状況に懸念を示し、対応を強化するよう日本政府に勧告した。子どもが被害を訴えやすいシステムや、虐待の加害者に対する厳しい刑罰が必要だと指摘している。
 日本では『こどもの権利条約』、つまり、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約があまり知られていない、効力もない。
 こどもには守られ、生きる権利がある。育っていく権利がある。では、私達、大人は何ができるのだろう、また、何をしたらいいのだろう。まず、こどもは一人の人、人間であり誰かの所有物ではないと自覚したい。そして、時の流れとともに「小さな命が奪われた事実」をうやむやにしてはいけない。

 何より、こどもに直接伝えることだ。あなたには守られ、育ち、生きていく権利がある、ユニセフの条約、『こどもの権利条約』が君をいつでも助けるよ、と。
 信用できる大人に相談してほしい、君を大切に扱わない場所から逃げてほしい、と。
 行政、教育関係者、児童相談所、警察に浸透させたい。「こどもの権利」を当たり前の世の中にするために、全ての人に知らしめたい。
 今、自発的な居場所作り、こども食堂、無料学習塾などが日本中大変な勢いで増えているが、このような居場所はこどもや保護者の心の受け皿にもなっている。新しいつながりで子どもたちと寄り添える可能性がある場所だ。そして、「こどもSOS」で、困ったことはないか、と、子どもに語りかけ、広められる場所なのだ。
 辛いニュースに、誰もがこどもを守りたい、こどもを救いたい。その一心な昨今だから、今こそ「こどもの権利」をこどものもとへ届ける時が来た、と感じる。
 それも待ったなしに。

2019年度「総会」のお知らせ

日時:2019年6月15日(土)午前10時~午後4時
場所:群馬県生涯学習センター
   4階 第3研修室(午前)、第1研修室(午後)
内容:午前「総会:議事」
   午後「シンポジウム:児童虐待から 子どもの命と心を守るために」
児童相談所、群馬弁護士会、NPO「ひこばえ」(DV被害者救済)、保育センターなどにパネリスト派遣要請中。社会全体で受け止めや対応を共有していきましょう。


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