パートナー通信 No.82

シリーズ「『第4・5回最終所見』を読み解く」①一般的実施措置に関する勧告加藤 彰男

  2019年1月16・17日、スイスのジュネーブで、国連子どもの権利委員会への日本政府第4・5回報告の審査会が開催され、同2月1日に最終所見が採択されました。その内容の学習を世話人会で進めており、学習のまとめをシリーズで報告していきます。

はじめに
「緊急的な措置が取られなければならない」と日本政府に対して勧告されたのが以下の点である。

  • *差別の禁止(パラグラフ18)
  • *子どもの意見の尊重(パラ22)
  • *体罰(パラグラフ26)
  • *家庭環境を奪われた子ども(パラ29)
  • *生命の誕生に関わる健康およびメンタ ルヘルス(パラグラフ35)
  • *少年司法(パラグラフ45)

一般的実施措置に関する勧告

 「一般的実施措置」とは、「立法、政策、予算、監視、広報」など国としての包括的な条約実施の状況のこと。 日本政府の取り組みが相変わらず消極的であり、強い懸念と勧告が出されている。
◎立法:
 子どもの権利に関する包括定な法律の制定と現行法令を条約の原則・規定と全面的に整合させる措置をとること
◎政策:
 条約のすべての領域に関わり、子どもの保護を包括的に進める実施戦略を発展させる。全領域的、全国・地方を包括できる適切な調整機関を設置すること
◎予算(資源)配分:
 子どもへの予算配分を明確にし、追跡・分析などができる予算分類システムをもちいる。サービス給付の予算が補正されても子どもの権利に関わる水準を低下させないこと
◎データ収集:
 特に、子どもの貧困、子どもへの暴力、乳幼児期のケアと発達の領域でのデータ収集システムを向上させること
◎独立した監視:
 子どもに対して敏感に対応する方法で子どもからの不服申立てを受理・調査・解決できる特別な監視機能を含む独立した人権監視機構を迅速に設立すること
◎広報・注意喚起・研修:
 とりわけ立法と司法に条約の適用を確保するため、議員・裁判官に条約に関する情報を普及すること。教師・裁判官・弁護士・家裁調査官・ソーシャルワーカー・警察官・報道関係者など子どもにかかわって働くすべての者に条約に関する特別研修講座を定期的に実施すること
◎市民社会(民間組織)との協力:
 民間組織との協力を強化し、条約実施のすべての段階で民間組織を体系的に参加させること
◎子どもの権利と経済界:
 ビジネスと人権に関する行動計画に子どもの人権を組み入れる。ビジネス活動の環境・健康・人権への影響と対応計画を公表する。旅行・観光にける子どもの性的搾取の防止に関するキャンペーンを業界と共に実施する。


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