パートナー通信 No.82

コロナ特集①「今」を共に過ごす大前 ちえり(コスモス保育園園長)

 2021年がスタートした1月。年長組のお父さん達が冬休み中に作ってくれたどんど焼きのやぐらが園庭に出来上がっていた。目をキラキラさせて担任と一緒にダルマを飾りに行く子ども達をみて、今年も今あるあたたかな幸せを守らなくては!と強く思った。

 昨年から続く新型コロナウイルス感染症との闘い。保育の現場でも全く初めての状況に未だに戸惑い続けている。どんなことがあっても、子ども達にはこれは必要、譲れない事、と守ってきた保育が出来ない。子どもの豊かな発達、安全かつ楽しい生活を保障する保育がこんなにも命を脅かされ困難になるとは。職員はもし自分か感染源になったら…と、四六時中不安を抱え、家と職場の行き来、最低限の外出を心がけている。当たり前になった毎日の検温、健康観察、マスクの着用、手指の消毒と管理に神経をすり減らしながらの生活はまだまだ続きそうだ。

 コスモス保育園のある渋川市では、3月から自粛要請がだされた。3か月ほどの間家庭保育の協力をお願いし、6月半ばから通常保育か再開されたときは、ずっと登園していた子から発せられた「みんな来たね!」の声に涙がこぼれそうだった。当たり前のことに感謝した。そして、改めて新学期がスタートした。
 まず、お母さん達から「給食って本当にありがたい!」「生活リズムって大事だね」と、何度も声をかけられた。ただ預けるだけではない集団の良さ、力、子ども一人ひとりの可能性が引き出される保育園の大事な役割が確認できた。 夏に向かい、プールはできるのか?お泊りは?とその都度情報を集めて仲間の園にも話を聞き、職員で考えていった。「コロナは怖いから」とやめてしまうのは簡単だ。だが、目の前の子ども達の笑顔は10年後、20年後の力強い生きる力につながっていく。そこを見落とさないためにも、わからないなりに今できることに思いを注いだ。
 暑い夏、密を避けながら対策もしっかりしてプールを楽しめた。県外へいく海水浴、テントをはってのキャンプは、朝から夜まで特別な一日を目いっぱい過ごすお楽しみ会に変更。運動会は子ども達の体と心がグッと大きくなる大事な大事な行事。保護者と共感、共有することに意味がある。子ども達がそこに向かって一生懸命楽しみ、頑張り、はりきっていく姿がコロナ禍でもこんなにみられ、みんなの力で運動会が出来たことに感謝した。

 コロナ禍で密を避けるのが新しい生活スタイルになる中、学校は少人数学級へと動き出した。感染防止以前に、保育の現場では今の職員の配置基準、面積基準では豊かな発達と安全を守り切れないのを日々感じている。これを機に保育条件の大きな見直しがされることを期待したい。 目の前の子ども達に夢中になると、コロナのことなど!?忘れてしまいがちだ。楽しさはいつも必要。でも、今はこの「大いなる悪魔」とどう向き合うか。油断せずにでも恐れすぎず、子ども達と職員と「今」を共に過ごしていきたい。


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