パートナー通信 No.82

コロナ特集⑤コロナ禍で始まった学習支援の
子どもの居場所関口 信子(JOYクラブ)

 昨年3月、思いもかけない事態が起きた。新型コロナウイルス感染予防のため、突然学校が休校になり、1年間のまとめや始まりの大事な時期に学習が途絶えてしまったのだ。休校の間、子どもたちは、家庭での学習を余儀なくされ、プリント等が配られたが家庭によっては分からない問題を教わることも出来ず学力の格差が大きく開いたように思う。学校が始まってからは行くのを渋る新1年生や勉強が分からなくて困っているという相談が舞い込んだ。
 地域でも子どもたちがワクワクと心を躍らせるイベントやお祭りも中止となり、子どもの育ちに不可欠な人との関わりや体験の場も無くなってしまった。
 また、コロナ禍で厳しい生活状況の家庭では、食費を切り詰めるなど子どもの食生活にも大きな影響が出ている。

 そんな中、こんな時こそ「こども食堂の出番!」とお弁当や食料を配布しているこども食堂の支援はどれだけ大きな親子の支えになっていることか!

 奮闘するこども食堂の活動に触発され、地域の住民力や教育力で子どもたちを支援しようと退職教員らで夏休みから子どもの居場所「ジョイキッズ」を開設。学習支援と食料配布を始めた。
 気持ちが疲弊しているときは、何事もうまくいかないし楽しくない。面白いことから知的好奇心を刺激して楽しい学びや体験の場にしようと知恵を結集。
 検温、消毒、換気、フェイスシールドなどコロナ対策を徹底しての開催となった。
 毎回20名くらいの小学生が参加している。県立女子大の学生がボランティアで参加し、優しいお姉さん先生に教えてもらえるのもうれしいようだ。
 学生もアルバイトが無くなるなど厳しい状況なので学生や外国籍住民にも食糧支援をしている。
 宿題や分からない勉強を教える学習支援の他に地域団体や人材と連携してゲームや科学実験授業、子ども防災教室、ネイチャーゲーム、英語でハロウィン、クラフト、農業体験など子どもがのびのびと楽しめる活動も取り入れた。
 机上の学習にはない面白さがある。手品のからくり見破りゲームや実験授業は、ああでもないこうでもないと思考を巡らし、大いに盛り上がった。
 川に囲まれた地域の水害子ども防災教室も暮らしに役立つ学びになった。
 自然公園での自然観察では、総勢54名が参加し、赤ちゃんからおばあちゃんまで一家総出でやってきた家族もいた。みなコロナ禍の自粛や不安の生活からストレス解消の場を求めているのを実感する。子どもたちと一緒に活動する中で自然に癒され、優しい笑顔になっていくのが印象的だった。
 コロナの警戒度が上がり、室内に集まれなくなってしまった今は、広々とした屋外での体験学習に転換。
 地元農家の協力を得て広い畑で野菜の収穫体験。巨大な大根やキャベツを自分で選んで収穫。でっけえ、おもてえ、うんめえのめったにできない貴重な食育体験となった。

 学習支援と一緒に毎回、地元企業や農家に協力を呼びかけて食料配布も行ってきた。商品や地元野菜、庭先の柿やゆずまで提供して頂き、小さな善意が集まって支え合う協力体制が築かれつつある。 提供品の袋を抱え、「楽しかった!また来るね」と笑顔で帰って行く子どもたち。 「次は、何して楽しもうか?・・・」と子どもと一緒に知恵を絞るのもまた楽しい。

<親のアンケートより>
○宿題をみてもらえるのもありがたいですが、災害のことや自然の中での学習などいろいろな知識を教えてもらえるのは子供にとってもとても貴重な体験だと思いました。学校の先生や親ではない大人にほめられるとうれしいようでやる気も出ると思います。
○兄弟が多いので色々な食材が頂けることで生活にとても助かっています。子供たちも半分は食料目当てみたいで「今日は何がもらえるかな♪」と楽しみにしています。

 会員のみなさんは、コロナ禍をどんなふうに過ごしていますか? みなさんの周りの子どもたちはどうですか? 心配なこと、困っていること、自分なりの工夫、逆にこの状況で良くなったことなど、パートナー通信にお寄せください。ハガキでの感想や、さらに一歩踏み込んだ寄稿など、会員のみなさんからのお便りをお待ちいています! (編集部)


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