パートナー通信 No.93

2024年5月12日

報告:自治体訪問のとりくみ - ① 群馬県生活こども部との懇談代表 加藤 彰男

はじめに

  2020年~2021年に実施した「子どもの権利に関する県・市町村アンケート」結果の分析と考察を2023年6月にまとめました。アンケートの結果を踏まえての県および県内自治体訪問の取り組みをようやく昨年の秋から開始することができました。

県生活こども部からスタート

 昨年11月2日、群馬県生活こども部との懇談を群馬県庁生活こども部会議室にて実施しました。行政側からは児童福祉・青少年課の次長、家庭福祉係長、家庭福祉係、私学・子育て支援課の子育て支援長、保育係長、障害政策課の支援調整係長、発達支援係の7名の担当者が出席。子どもの権利委員会からは世話人4名が参加しました。
 はじめに次長からこども基本法の施行や「こども大綱・計画」に基づく「こどもまんなか社会」に触れた挨拶のあと、各課・係からの施策の説明が県民配布用の資料(7種類)なども使って行われました。家庭福祉係からは所管する児童相談所・児童自立支援施設や民間の児童養護施設の紹介のあと、年々増加している虐待に対する対応について、群馬県では「24時間以内に」安全確認を行うことにしている。「群馬県虐待から子どもの生命と権利を県民全体で守る条例(R3/4/1施行)」については、いわゆる「子どもの権利条例」というものではないが、この条例の中で「子どもを権利の主体として尊重し、子どもの最善の利益を尊重しなければならない」を始め、「すべての子どもは、子どもの権利条約の精神にのっとり、健全な成長及び発達をするための権利を有し、それが尊重されなければならない」と明示されている。さらに、ヤングケアラー支援では23年6月にNPO法人「虹色のかさ」に委託している電話相談窓口の開設、インターネット覚えてほしい7つのルール「おぜのかみさま」などの説明もありました。
 子育て支援係からは、市町村が進める児童手当、子ども子育て支援事業、放課後児童クラブ事業などへのサポートや県として取り組んでいる子どもの居場所づくり、子ども食堂への支援などの説明があり、子どもの意見をよく聞いて施策に反映できるよう努力していく必要がある。保育係からは保育園・認定こども園の運営に関わる施策を担当しているが、子どもの自主性を重視する質的な充実やインクルーシブ保育やケアも大切である。障害政策課支援調整係からは障害者総合支援法に基づく施策や施設従事者による虐待防止、障害者差別解消法に基づく幅広い社会参加の推進、発達支援係からは発達障害者支援センターや療育事業、幼稚園・保育園・福祉サービス事業所・医師などへの研修、様々な依存症対策に取り組んでいる、等々の説明がありました。
 子どもの権利委員会からは、『こどものけんりカルタ』、パンフ『わかりやすく言いかえた子どもの権利条』、国連一般注釈『意見を聞いてもらえる権利』などを用意して、とりわけ①「条約・最終所見」の研修と広報、②意見表明権の尊重と参画、③民間組織との連携について、県としての施策や市町村の取り組みへの支援の強化を要請しました。併せて、子ども施策への財政的裏付けの重視、アドボカシーの重視、全ての子どものウェルビーイング・幸福度の向上、どの子どもの声も聴き取るいろいろな場面・方法を工夫する必要性、未就学児の段階からのリテラシー・否認知能力の育成に関する講座、ADHDの的確な診断や薬に頼らない対応の必要性、『母子健康手帳』へ子どもの権利条約の掲載、等々の意見・要望・提案を行いました。


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