パートナー通信 No.95

2025年2月1日

目次

2025年・年頭のご挨拶 代表 加藤彰男

 会員の皆様にはお健やかに新年をお迎えのことと存じます。本年も昨年同様よろしくお願いいたします。
 昨年12月、日本原水爆被爆者団体協議会が「ノーベル平和賞2024年」を受賞し、世界平和の実現と人権の擁護のために活動している人々に大きな励ましと希望を与えてくれました。
 授賞式での田中熙巳さんのスピーチに会員の皆様も心動かされたことと思いますが、これに重ねてノーベル委員会・フリードネス会長のスピーチを振り返ってみたいと思います。およそ30のパラグラフのいずれもが重たく深い内容に満たされていますが、ここでは、見当外れとのご批判を覚悟して、子どもたちには平和な世界で人間らしく、ありのままに生きていく権利があるということを歴史の継承という課題に結び付けて、その一部を引用させていただきたいと思います。

 「記憶は私たちを心の檻の中に閉じ込め、前に進むことを阻むこともできます。他方で、記憶が新たな人生への契機をもたらすこともできます。忘却という誘惑から私たちを守り、同時に、苦難に見舞われた人々に敬意を表す手段にもなります。そのためには、個人の証言を聞くことだけでなく、歴史の記述、文書化、啓発活動、またそれを具現する文学や芸術など、記憶のためにはあらゆる装置が必要です。
   <中略>
 被爆者たちが歴史の証人として私たちの前からいなくなる日も、いつかは来るでしょう。しかし、この力強い記憶の文化と継続的な熱意によって、日本内外の若い世代の人々が、証言者たちの体験とメッセージを受け継いでいます。彼らはまた世界中の人々を鼓舞し、啓発しています。
ただし、彼らのみにこの責任を課すわけにはいきません。被爆者たちの遺産を受け継いでいくのは、私たちすべての人間の責任だといえます。被爆者たちは、私たちに明確で、道徳的な羅針盤を与えてくれました。今こそ、私たちの番が来たのです。軍縮を追求していくには、世論による主張と継続的な努力が必要です。勇気ある声、関心を持つ学生、意欲的な教師など新しい世代が必要になります。

   <中略>
 私たち人間は、過去の過ちを繰り返すことを運命づけられているわけではありません。なぜなら私たちは学ぶことができるからです。私たちは別の道を選ぶこともできるはずです。私たちは共通の人間性を信じるよう、子どもたちを育てることができます。ラッセルやアインシュタインに耳を傾け、私たちの人間性を思い起こすことができるはずです。」

(著作権Ⓒノーベル財団,ストックホルム,2024年)

 私たちは、昨年2月の「子どもまんなかフェスタ」に続いて今年5月24日(土)に『子どもまんなかフェスタfor TEENS』を開催予定です。若者たちの思いや願いに共に耳を傾け合う集いにしたいと思います。


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