パートナー通信 No.96

2025年4月29日

活動報告 第2回フェスタ実行委員会 加藤彰男・芦田朱乃

第2回子どもまんなかフェスタ
10代向け「for TEEN」

 子どもの権利条約(Convention on the Rights of the Child)は、1989年11月の第44回国連総会にて採択されました。日本がこの条約を批准したのが1994年、群馬子どもの権利委員会はその前年1993年に結成されました。
 群馬子どもの権利委員会結成30周年(2023年)、条約批准30周年(2024年)を記念して、昨年2月に「第1回子どもまんなかフェスタ」を開催しました。子ども・大人合わせておよそ400人が集い、「条約31条:休息・余暇、遊び・文化への権利」をテーマに様々な遊びを体験し楽しい時間を創り出しました。
第1回フェスタの振り返りのなかで、参加者の多くが幼児や小学生とその家族でしたので、次は「10代の子どもたちが集い、思いや願いを出し合い、交流できる場」をぜひ作りたい、となりました。
 大人への入口でもある10代は、主権者として自分が生きていく社会・世界を自分たちで作り出していく力を獲得していく時と言えます。と同時に、子どもたち一人ひとりの「自分探し・自己変革の、いわば疾風怒濤のような時」でもあります。そして、「自分探し、自己変革、そして自己決定の力の獲得は何でも自由にやってみることから」始まると言えるでしょう。子ども・若者たちは様々なことに挑戦するエネルギーに満ち溢れています。でも一方で、今、子ども・若者たちが何でも自由にやってみることにブレーキを掛けてしまうようなことがいろいろあることも事実です。
 条約3条は「最善の利益」の追求と保障についてですが、条約の英文では “the best interest” です。’interest’の意味を辞書で調べてみることをお勧めしますが、岩波ジュニア新書『ハンドブック子どもの権利条約』(中野光・小笠毅編著)では「…「最善の利益」よりも、「最大の関心」とか「最高の興味」「最も深い利害関係」などと訳したほうが、ベスト・インタレストの原義に近いのではないでしょうか。」(p.30~31)と述べられています。
 この条約3条「最善の利益」と対をなしているのが12条「子どもの意見の尊重」です。子ども・若者たちの「最大の関心・最高の興味・最も深い利害関係」が率直に語られ、それを子ども・若者同士も大人も丸ごと受けとめ、忌憚ない対話と交流を積み上げていくことが「子どもまんなかフェスタ for TEEN」のめざすところです。この「対話と交流」が子ども・若者たちも大人たちもエンパワーするものと思っています。

第1回実行委員会(24年10月12日)

実行委員会にも若者を

 10代やその前後の人向けにフェスタを開催するなら、企画の段階からその世代に参加してもらえないだろうか。自分たちの知りたいことや、こんなイベントだったら行きたいという思いを挙げてもらい、ともに考え、一緒にフェスタを作っていきたい。

 そんな思いから、中高生~20代くらいの若者への呼びかけで、今年のフェスタへの取り組みが始まりました。これまで関係を深めてきた団体に呼び掛けてみたり、世話人が参加している他の団体でツテをたどってみたり。その努力が実り、大学に通いながら国際協力や多文化共生に取り組む齊藤さんやその後輩の方が実行委員会に参加してくれることになりました(齊藤さんの活動についてはp.6-7の記事をご覧ください)。

エンパワメント

 大学生の皆さんは実行委員会に新鮮な風を吹き込んでくれました。なんと言ってもパワーがある。そしてアイデアが次々あふれてきます。

 今回のテーマである「10代・若者のエンパワメント」も彼らの提案でした。子どもは家庭でも学校でもルールがあり、本当の自由を感じたことがないんじゃないか。個性を磨けと言われるけど、校則は個性を認めない。大人や周りがいいと思う個性しか求められない。あるファッションがいいと思うのは流行なのか「自分」なのか。個性を出すのはいいとしても、評価されるのは怖い。そもそも「自分」や「個性」や「自由」が何なのかまだ分からない。そんなようなことを色々話していて、子どもや若者を「エンパワメント」するフェスタにしたいとまとまりました。そして、今回のエンパワメント(empowerment=原義:力を与える)をもう少し具体的に言うと「今の自分を認める、自信をつける、一歩踏み出す」ことだとまとめました。

 本号に同封のチラシは齊藤さんのデザインです。文字を少なくカッコよく。まず「何だろう、ちょっと気になる、行ってみようか」と思わせようという狙いです。こちらが伝えたいことを先にとうとうと語ってしまうより、受け取った人が「よさそう」というイメージを作ってくれるように誘導する。詳細を知りたい人にはウェブサイトなどで見られるようにすればいい。なるほど!と感心しました。

 いろいろ考えて準備は進めているものの当日に実際に人が来るかは分からないよね~という不安も、大学生が払拭してくれました。ステージがあるから高校生の部活動やサークルに出演してもらったらどうかと言うのです。部活の発表なら本人たちだけでもある程度の人数になるし、他に友達や保護者も見に来てくれるだろうし、と。またまた、なるほど!

「第九方式だね」と言ったら「何ですかそれ?」。「実は年末に第九を演奏するのは…」とオバちゃんの豆知識を披露しました。

 テーマは「10代・若者のエンパワメント」だけど、むしろ私たちがパワーをもらうほうになってるなぁと、学生さんたちと話すたびに感心しています。社会のあちこちで、こんなふうに子ども・若者と大人たちが話し合い、力を合わせていけたら、きっといい社会になるぞと、今回の実行委員会を通じて実感しました。

開催資金にご協力ください

 このように実行委員でフェスタ開催に向けて日々取り組んでいます。若者たちが思いっきりがんばれるように、来場する子どもたちが楽しく学べるように、開催に向けた資金作りにご協力ください。詳しくは同封のお願いをご覧ください。


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