子どもの権利条約に関する第3回市町村アンケート(2)
子どもの権利条約に関する第3回市町村アンケート調査結果の要点と群馬子どもの権利委員会の意見
2011年9月
今回の第3回市町村アンケートにいたる経緯
私たち群馬子どもの権利委員会は1993年の設立以来、子どもの権利を擁護し発展させるために微力を尽くしてまいりました。子どもを守るための国際的なNGO(非政府組織)であるDCI(Defence for Children International)の日本支部に加入し、DCIを通じて日本の状況を国連に反映させることにも一役かってきました。
その間、1994年4月に日本が「子どもの権利条約」を批准・承認し、日本政府は国内法の整備状況と子どもの生活実態を国連に報告しました。その報告を受けて、国連子どもの権利委員会では審査を行い、1998年6月、日本政府に対する第1回の勧告(正式には「最終所見」)が出されました。「条約の原則と裁定を実施し監視するに当たって、NGOと緊密に交流し協力する」ことも勧奨されていました。
これを受けて、群馬子どもの権利委員会は1999年、当時70あった群馬県内の全市町村を対象に、子どもの権利条約にかかわる子ども行政についてのアンケート調査を実施し、子どもの権利条約の周知と子どもの権利や人権の擁護について、実情をお訊ねしました。全体の約81.4%に当たる57市町村から回答が寄せられ、集約結果とそれに関する群馬子どもの権利委員会の意見を、同年12月に公表しました。
国連への政府報告は5年ごとに提出しなければなりません。第2回政府報告は2001年11月に出され、審査をへて、国連の第2回勧告が2004年1月末に出されました。これに応じて、群馬子どもの権利委員会では2005年9月、第2回のアンケート調査を当時54になっていた県内全市町村に実施し、75.9%を上回る41市町村から回答をいただいたのです。集約の結果と私たちの意見は、2006年10月に公表しました。
そして今回、第3回です。日本政府の第3回報告は、2年遅れで2008年4月国連に提出され、私たちNGOも前2回と同じく市民サイドからの報告を提出するとともに(群馬からも10本の実情報告を英訳して国連に届けました)、前回にひきつづき子どもたち自身が直接ジュネーブに行って国連に訴える場も作りました。
国連は2010年2月に予備審査、5月に本審査を行い、6月11日に第3回の勧告を出しました。今回の勧告では、日本の社会支出が低く「人口の約15%が貧困である」ばかりか、「子どもと親および子どもと教師との間の関係の貧困さ」が子どもの「情緒的幸福度の低さ」を招いていると指摘した点が注目されます。また、中央政府と地方自治体が「市民社会組織との継続的交流と共同体制を確立する」必要も勧告されました。