子どもの権利条約に関する第3回市町村アンケート(2)
4.子どもの貧困と家庭での虐待
今回初めてお訊ねした問題で、前回および第1回との比較はできませんでした。
(1)貧困家庭に対する経済的援助は、約65%の6市11町村がなんらかの形で行っています。前橋市は貧困家庭に児童扶養手当と就学奨励費を、伊勢崎市はひとり親家庭に児童扶養手当と福祉手当を支給しています。沼田市は低所得層の保育料を低く設定し、就園奨励費を出しています。貧困家庭に児童扶養手当や就学援助費を支給するのが一般的ですが、神流町や川場村のように奨学金を貸付けるところもあります。
最近の経済状況のもとで、経済的援助のいっそうの拡充は急務だと思われます。
(2)「子どもの貧困」は経済的な面だけでなく、精神的な面にも及んでいます。「驚くべき数の子どもが情緒的幸福度の低さを訴えて」おり、「その決定要因が子どもと親および子どもと教師との間の関係の貧困さにある」と、第3回国連勧告も指摘するのです。
こうした人間関係の貧困、とりわけ親子関係の貧困には、太田市など半数の市町村が、相談員による相談の機会を保障することで対応しています。とくに注目すべきは、中之条町や榛東村のように、子育て支援で親子関係の充実をはかっていることでしょう。親子で参加できる居場所づくりを推進するみなかみ町、「子育て講座」を実施している川場村、家庭教育学級でいい親子関係を築こうとする高山村の試みも注目されます。
(3)家庭での子ども虐待に対しては、予防策や救済措置がいろいろ講じられています。 伊勢崎市は昨年10月に「子育て相談センター」を設置、関係機関と協力して迅速できめ細かな対応ができるようにしました。館林市も「子育て支援連絡会議」を設置して、子育てに対する総合的な支援を行っています。安中市のように家庭児童相談を実施している例も目立ち、藤岡市では2009年度に36件の虐待関係相談がありました。
また、「要保護児童対策地域協議会」を設置し子どもの虐待に対処しているという回答が、約46%の市町村からありました。前橋市は学校で子どもの表情や身体の様子を注意深く観察し、虐待を発見すれば子ども課や児童相談所と連携して対処しています。高山村も保育園や学校で子どもの様子を観察し、虐待の気配があれば行政と相談しています。
大人が子どもをありのままに受け止めプラスの面を評価して、温かい人間関係を築くことが大切ではないでしょうか。虐待の早期発見と迅速適切な対処はもちろん必要ですが、親の意識を高めることも重要です。子育てや子どもへのかかわり方についての研修会を、藤岡市(年4回も)や伊勢崎市が保護者に実施しているのは、注目すべきでしょう。