子どもの権利条約に関する第3回市町村アンケート(2)
5.学校などでの人権侵害の救済
(1)学校でのいじめや体罰などには、約92%の市町村がなんらかの対策を立てています。前回は約90%、第1回は約75%でしたから、大多数で定着しています。いじめへの対策はまず教育相談で、富岡市や千代田町のように各学校に配置された相談員によるものもあれば、沼田市や下仁田町のように市や町の教育研究所で行う場合もあります。
しかし、今回初めて登場し、前橋市や館林市など約31%にあたる7市1町が実施していると答えたのは、子どもたちへのアンケート調査でした。単にいじめだけでなく、学校生活全般に関する場合もあり、多いところは月1回行っています。子どもの声や実態を知り、いじめの早期発見や生活指導に役立てるためでしょう。
体罰については、富岡市や前橋市のように、校内服務規律委員会や職員会議で教職員が体罰根絶の共通認識を持つようにしている場合がいくつか見られます。校長会などの機会に教育委員会が管理職を指導しているといいます。
いじめや体罰への根本的な対策は人間関係を改善することですが、今回はそうした認識も見えました。伊勢崎市は「日常の教育活動を通じ、教師と子ども、子ども同士の好ましい人間関係づくりに努めて」いますし、富岡市も「わかる授業に心掛ける」ほか、「共感的な態度」で接し敬称で呼びあったりして、「望ましい人間関係作り、学級経営の充実に努め」ています。吉岡町や榛東村は人権教育に力を入れています。
いじめや体罰の問題で教職員に研修を行っている市町村は約69%で、前回約66%、第1回約60%でしたから、前進です。研修の形もさまざまで、沼田市は年2回生徒指導主任を招集して会議を開き、専門家の講演会や各校の事例に基づく情報交換などを行っています。PTAと教職員への人権問題研修会も、長野原町などが実施しています。
(2)全般的に子どもの人権や権利の侵害を防ぐ対策として、「子どもの人権専門委員」またはそれに準じる委員を置いている市町村は約27%でした。前回約34%、第1回は37%でしたから、後退しています。その多くは人権擁護委員の職務の一部で、民生委員が兼ねる場合もあります。市町村独自の防止・救済制度もほぼ皆無でした。
しかし、ほとんどの市町村は電話や相談室を用意して、子どもや親が接触してくるのを待っているのです。気軽に相談できる手だてと雰囲気が必要でしょう。こうした相談制度があることを、広報紙などでたえず住民に知らせることも重要だと思われます。