パートナー通信 No.64

地域の活動紹介―①もったいない食品を
ありがとうの食品にフードバンク北関東 NPO法人 三松会(館林市)

 

 三松会は館林市にあるお寺の副住職が理事長を務めるNPO法人です。昨年5月の「総会」時の交流・討論会では「学習支援」のことが主な話題となりましたが、「食」の課題も重要であるということで、12月に三松会を訪問して、理事長の塚田一晃さんとフードバンク担当の塚本明美さんからお話をうかがいました。

 

 平成7年に発足した三松会は、身寄りのない方、生活困難者など諸々の事情で社会的に弱い立場にある人たちに、葬祭支援や後見人活動、慰問活動、孤独死予防センター活動などをしてきました。その中で、食べ物を必要としている人たちを目の当たりにして、平成22年にフードバンク活動を開始し、翌23年に「フードバンク北関東」として活動を強化してきました。

「フ-ドバンク活動」って?

 賞味期限内で食品として品質には問題がないにもかかわらず、パッケージの印字ミスや破損、缶詰の凹み、規格外商品、イベント等の余剰品、季節外商品、販売期限切れなどの理由により、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品を無償で寄贈してもらい、一人親世帯、高齢者、ホームレス、外国人などの生活困窮者を支援する団体、また少ない寄付だけで運営している子ども施設、あるいは利用者から利用料を徴収していない施設などの、食品を必要としている方がたへ無償でお届けする活動です。

地域に広がる活動

 現在、52の企業や農家、個人から協力をいただき、生活困窮者の直接支援のほかに、これまでに支援した施設などは群馬、栃木、埼玉県内の217団体、地域で見ると9市5郡22町村に広がっています。
 群馬県内では、児童養護施設や里親ファミリーホームなど(15)、母子支援施設など(3)、障害者施設(55)、老人施設(22)、更生施設(2)、困窮者支援団体など(13)、その他(22)となっていて、さらに市町村福祉事務所や県・市町村社会福祉協議会などとの連携もしています。
 個人支援事業は、行政や取次協力者(フードバンクの勉強会に参加したうえで、行政の窓口に行くことができない人をフードバンクにつないだり、ご近所の見守りの実務をしてくれる方)、あるいはすでに連携している施設などからの紹介で利用開始となります。館林周辺の方には行政やボランティアを通じて、遠方の方には配布会に参加してもらっての食品受け取りとなっています。
 昨年5月の交流・討論会の後、太田市や前橋市のボランティアによる「無料学習教室」と連携ができて配布会を開催したり、地域の市民集会や勉強会にも参加しています。

◎利用されている方の声から

❤フードバンクの説明会開催の告知を
 インターネットで見たA市の女性:

空白

小学校入学を目前にした娘さんと実母の三人暮らし。派遣社員として働いている。娘も本人も医者通いが多く、心配事が絶えない。三週間に一度の支援が開始になり、パンやお菓子を手にした娘が喜んでいるのを見ると、ありがたいなと思います。

❤困窮者支援団体から紹介された方:

空白

小学校入学を目前にした娘さんと実母の三人暮らし。派遣社員として働いている。娘も本人も医者通いが多く、心配事が絶えない。三週間に一度の支援が開始になり、パンやお菓子を手にした娘が喜んでいるのを見ると、ありがたいなと思います。

「貧困と格差」の問題

 社会において当たり前と思われていることをするのが困難な生活水準を「相対的貧困」というのは皆さんもご存じのことと思います。当たり前と思われることというのは、例えば、友人関係を保ったり、親戚とおつきあいしたり、就職活動したり、結婚するためにデートしたり、といったことです。子どもの生活でいえば、友だちと仲良くしたり、学校にいったり、家族で動物園に行ったりといった、ふつうの子どもの生活です。でも、厚労省発表の日本の「相対的貧困率16%」に基づくと、6人に1人が貧困線以下で暮らしているということになります。

「食品ロス」年間500万~800万トン

 日本国内の年間食品廃棄量は、食糧消費全体の2割に当たる約1700万トン。このうち、売れ残りや期限切れ食品、食べ残しなど本来食べられたはずのいわゆる「食品ロス」は500万~800万トンとされています(農水省調べ)。
 これは日本のお米の一年間の収穫量(平成24年約850万トン)と同じです。世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(平成23年約390万トン)を大きく上回る量です。日本人1人当たりに換算すると、"おにぎり1~2個分"が毎日捨てられている計算になります。

「フードドライブ開催中」

 「貧困の問題」と「食品ロス」の2つの問題を解決するのがフードバンク活動の目的と言えますが、さらに「フードドライブ」という取り組みを進めています。英語でfood(食べ物)とdrive(運動)を合わせて「食べ物を集める運動」という意味になります。家庭で余っている食べ物を、学校や職場、グループなどで集めて、フードバンクに寄付する運動です。イベントや地域のお祭りなどの人が集まる場所でしたらどこでも実施可能です。寄付していただいた食品は、一人親世帯、DV被害者、失業中などの食に困っている方々へ届けられます。ひとつの缶詰でも空腹を満たす以上の希望が詰まっています。
 お話ししてきた食品ロス削減のための「もったいない」エコ活動と困窮者のサポートに、どなたでも気軽に参加できる画期的な運動だと思っています。
 寄付していただきたい食品は、お米(白米・玄米・アルファ米)、乾麺、カップ麺、缶詰、レトルト食品、調味料など常温で保存できる食品です。

フードバンクを利用するには

◆施設の場合
 フードバンクの「勉強会」に参加し、手順や守っていただきたいことへの同意をいただいて、施設の情報確認のうえ、利用開始となります。
◆個人の場合
 フードバンクと連携している支援団体・組織などからの紹介、あるいは行政や取次協力者の紹介が必要です。紹介がない場合の食品の提供は1回のみとなります。

(文責:加藤彰男)

お問合せ先
NPO法人 三松会 フードバンク北関東
 〒374-0074
 群馬県館林市高根町109
 TEL 0276-75-4732  FAX 0276-49-6915
 E-mail: t.negishi@ab.auone-net.jp


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