パートナー通信 No.71
- 1. 2017年10月/No.71(通算87号)
- 2. 「遊び」が育ててくれるもの「子どもの権利条約31条」を通して子どもの生活を見直す
- 3. ぐんま少年少女センター
第53回ぐんま少年少女キャンプに行ってきたよ!
芦田朱乃(ぐんま少年少女センター事務局長) - 4. 自然は友だち! 楽しく遊ぼう!
五感で楽しんだネイチャーゲーム 水辺の森を愛する会・
ぐんま緑のインタープリター協会会員 関口 信子 - 5. 地域の活動紹介①第56回群馬県母親大会に参加して小林美代子
- 6. 地域の活動紹介②それぞれの君と私の未来にこども応援楽団『こども魂』 歌とギター
みんなのいばしょ 「あつまれ前橋スポット」
清水 紅(しみず べに) - 7. こどもぺえじ
- 8. 会員からのお便り
- 9. 世話人だより
自然は友だち! 楽しく遊ぼう!
五感で楽しんだネイチャーゲーム 水辺の森を愛する会・
ぐんま緑のインタープリター協会会員
関口 信子
自然体験を子どもたちに!
玉村町の岩倉自然公園水辺の森では、外遊びが少なくなった子どもたちに自然の森で思い切り楽しく遊んでもらおうと毎年8月に「こどもの森まつり」が開催されています。今年はさらに、自然体験を深めようと「ネイチャーゲーム教室」も開かれました。
今年の「こどもの森まつり」には、250人からの親子が参加し、地域に根差した子どものための自然体験や遊びの場となってきました。
この森まつりは、子どもの権利条約の休息や遊ぶ権利が守れるよう子ども自身の自発的な「やりたい!」を応援する形で自由に楽しめるようになっています。ツリークライミングやツリーブランコ、小川での生き物探し、水鉄砲、しの笛作り、ネイチャークラフト、電動バスのジャングルクルーズ他、たくさんの体験の場があり、子どもたちは思いのままにチャレンジしていました。
今年は町長さんを始め、教育長さん、小学校長さんなどの教育関係者も参加してくれ、のびのび遊ぶ子どもたちの姿をほほえましく見届けてくれました。
子どもの育ちの上で、このような子どもの主体的・体験的な遊びがいかに重要かを理解し、子育て政策や教育活動へ取り込んでくれることを願うばかりです。
ネイチャーゲームで大発見!
そして9月、ぐんま緑のインタープリター協会ネイチャーゲームリーダーの茂木由美さんを迎え、「森は友だち!ネイチャーゲーム教室」を開催しました。
ネイチャーゲームとは、米国のナチュラリスト、ジョセフ・コーネル氏により発表された五感を使って自然を直接体験するプログラムです。自然に関する特別な知識がなくても豊かな自然の持つさまざまな表情を楽しめる自然体験活動で、自然の不思議や仕組みに気づき、自然や生命を大切にする気持ちをはぐくむ事ができます。なにより、それぞれの感性で感じ取ったものでよいというのがうれしい。日々、1つの答え、同じ答えを強いられている子どもたちには自分なりの考えや感じ方でいいのよという大事なメッセージにもなります。
秋晴れの当日、町内外から子どもや保護者が40人ほど集まりました。支援塾からのうれしい参加もありました。仕事で疲れているお母さんは自然に心が癒されると喜び、子どもはお母さんと一緒にいられてうれしいと言っていました。
ゲーム1:ノーズゲーム
いよいよゲーム開始です。ノーズゲームは、生き物の特徴や生態に関するヒントからその生き物を推理するゲームです。分かったらすぐに答えず鼻に手を当てて合図します。それぞれが分かった段階で静かに合図するので速い遅いは関係なく、自分のペースでじっくり考えられるのがいいです。
さて、わたしは、誰でしょう?
- ①わたしは、卵で生まれます。
- ②わたしの足は6本です。
- ③わたしは空を飛ぶことができます。
- ④わたしは黒か茶色です。
- ⑤わたしは樹液が大好きです。
- ⑥わたしたちのオスは1本の大きな角をもっています。
最初、首をひねっていた子どもたちですが分かった瞬間、表情がパッと明るくなって急いで指を鼻へ付けていました。分かった喜びの笑顔があちらこちらに広がっていきました。この答えはカブト虫でした。クイズのようなゲーム形式なので子どもたちの好奇心は高まり、自分から分かろうとのめり込んでいきます。次は何だろうと集中して聞き耳を立てていました。ダンゴ虫やコウモリなど、ヒントから探り出す面白さに熱中したノーズゲームでした。
ゲーム2:じゃんけん落ち葉集め
じゃんけんに勝つと落ち葉が1枚拾えるゲームです。勝つと拾えるというアクティブなゲームに子どもたちは、またまたエキサイト。次から次へと相手を見つけ、じゃんけんをして落ち葉を拾っていました。
終わってから大きな布の上へそれぞれが拾った落ち葉を広げてみると、葉っぱには、いろいろな形、色、大きさがあり、樹木や草花の種類ごとに違っていることが分かりました。中でも桜の落ち葉は赤や黄色に色づいたものや黄色から茶色へ変化しているものもあり、芸術のような自然の美しさに感激でした。
ゲーム3:種の不思議 タネとばし
森は広く、いろいろな樹木があります。ちょうど、ニワウルシがたくさんの実を付けており、種の不思議を体験しました。
種を取って飛ばしてみると風に乗ってクルクル回っています。よく見てみるとプロペラみたいな形をしています。細長い紙をホチキスで止め、種の模型を作って飛ばしてみました。
風を受け、クルクル回転して遠くへ飛ぶので これまた、熱中。何度も何度も繰り返して遊んでいました。
リーダーの「どうしてかな?」の問いに、「遠くへ飛ばすんだよ」「遠くへ飛んでそこで芽を出すんじゃないの」の声。こうして子孫を残す巧みな仕組みに気づいたのでした。
ゲーム4:カモフラージュ
ゲームの中でも一番驚いたのがカモフラージュです。カモフラージュは、虫などの生き物のカモフラージュ(擬態)を楽しみながら学べるゲームです。
木や草の茂った場所に、範囲を決めて人工物を置きます。今回は、うさぎのぬいぐるみ、くも、だるま、茶色のひも、恐竜のプラモデル、造花の葉っぱ、木のスプーン、ぐんまちゃん人形、魚の模型、作り物のレモン、洗濯ばさみなどの人工物を置きました。参加者は、一人ずつ順番に置いてあるものを見つけ、見つけた個数をリーダーに伝えます。簡単なようですが、これがなかなかみつかりません。よく見ているつもりでも色や質感が自然の中に溶け込んでしまうようなものは同化してしまいます。茶色のひもなど、まるで枝に見えてしまうから不思議です。
「もっとあるよ!」とリーダーから言われ、スタートに戻って再度挑戦しますが、全部見つけられた人はいませんでした。
最後、答えを合わせるべく、みんなでひとつひとつ確認していくと、そんなところにあったのか!と驚くばかり。その後、リーダーがハナカマキリやシャクトリムシの写真を見せてくれました。どこにいるのか? 子どもたちの顔がだんだん写真に近づき…「いたっ!」見事な擬態にまたまたびっくり!「何のためかな?」の問いに「敵に食べられないように!」の声。ほかにも紛れて獲物を狙うという戦術もあると教えてくれました。
ゲーム5:フィールドビンゴ
そして最後は水辺の森フィールドビンゴです。フィールドビンゴゲームとは、ビンゴカードに書かれている「ちくちくするもの」とか 「たべあと」のようなアイテムを見たり、聞いたり、触ったり、匂いを嗅いだりと五感を使って探し出すゲームです。
見つけたものに○を付け、たて、よこ、斜めが一列揃うとビンゴです。全部探せると10ビンゴできるので子どもたちは「全部ビンゴにするぞ!」と意気込んで森の中を
探し回っていました。匂いのするものは難しいかな?と思いましたが、ヘクソカズラやヨモギを見つけて「これ、においがする!」と無事クリヤー。ふわふわするものに苦戦していましたが、コケや枯葉の積もった土などに触ってふわふわ感を体感し、これもクリヤー。テレビやゲームなどの視覚生活の子どもたちには、この実体験が重要です。ビンゴは自然の宝探しのようでほとんどの子どもが10ビンゴを達成し、満面の笑顔が達成感・満足感を物語っていました。
<子どもの声>
- わたしは、初めてこのネイチャーゲームをしました。いろんなことがしれてよかったです。
- ノーズゲームがすごくたのしかったし、べんきょうにもなったのでよかった。
<大人の声>
- 大人でも知らないことが沢山あって、とても面白かったです。カモフラージュでは、あんなに沢山人工物があると思わなかったので驚きました。
- 教科書やテレビで見た種や植物を生で見ることは、とてもおもしろいと感じた。玉村町もこんなに自然豊かであるとは知らなかった。
子どもも大人も新鮮な驚きと感激のネイチャーゲームでした。身近な公園や校庭でもでき、自発的な生きた学習になるので学校にも紹介しています。
子どもの豊かな育ちのためにもこのような自然体験活動をこれからも実施していきたいと思っています。