パートナー通信 No.89

特集:群馬県「こども食堂フェア」レポート群馬県こども食堂フェア西毛地域
―子ども食堂の紹介と子どもの遊び場―フェア西毛地域実行委員  宇佐見 義尚  

 「群馬県こども食堂フェア」と銘打った全県を挙げてのイベントが、2022年から23年にかけて東毛地域(10月10日、館林市文化会館カルピスホール前広場・10月30日、桐生市新川公園)、西毛地域(11月26・27日、イオンモール高崎)、中毛地域(1月29日、群馬県庁1階県民ホール)の3地域4か所で開催されています。
 主催は群馬県(担当部署は生活こども部私学・子育て支援課子育て支援係)、実施は各地域の子ども食堂有志で実行委員会が組織されての開催でした。西毛地域の場合、「フェア」への参加・不参加は各子ども食堂の任意の形で呼びかけが行われて、西毛地域で活動する関連36団体のうち、22か所の子ども食堂及び関連団体が参加してのイベントになりました。

「フェア」開催の趣旨

 県の主催者によれば、この「フェア」は県内で活動する子ども食堂を広く知っていただき、子ども食堂への利用者を増やして子ども食堂への理解を深めることを目的として開催するというものでした。
 西毛地域では、3回の実行委員会(対面とオンライン)で、県の担当者を交えて協議して、以下のような「フェア」内容で実施することになりました。

西毛地域「フェア」の内容

 子ども食堂の活動紹介の展示、遊びのコーナー、こども食堂相談、フードドライブ、こども食堂の認知に関するアンケート(県)、バナースタンド作成による子ども食堂名の紹介。

「フェア」初日・11月26日

「フェア」二日目・11月27日

 会場のイオンモール高崎イーストコートの開店に合わせて、万全の準備を終えて西毛地区子ども食堂フェアがスタートしました。

フェア当日の様子を伝える動画

 フェアの様子を下記の動画で紹介しています。

制作:安中市子ども食堂連絡協議会広報部

来場者の声

 会場でささやかれた来場者の声を拾ってみました。

「何しているか、分からない(イベント内容)」
「〇〇(子ども)がやりたがってるから、仕方ないやるか(ゲーム)射的」
「シイタケタダですか?? タダなら、貰います」
「子ども食堂、知らねーな(若い世代)」
「これ、楽しい(マスコットつり)」
「アトラクションに手がイッパイで、こちらから聴かないと、対応してくれなかった」
「子ども食堂について、静かに詳しく知りたかったが、子どもたちのゲームや遊びがにぎやかで混雑もあり、残念だった」
「子ども食堂を運営されている方々の声を聴きたかったがそのような雰囲気がなかった」

当日ボランティアスタッフの声

 「子ども食堂を知ってもらう活動としての効果はどうだったのか?アンケートの内容や今後の生かし方としてどうだったのか」「ただ、無料で楽しむブースがあるから寄った方が多かったのではないか、それで子ども食堂を知ってもらうきっかけになったのか疑問に思った」「スペースがとにかく狭すぎる。どこにどの子ども食堂があるのかもわからない」「昼食を食べる場所が控え室で、椅子もなく、床で座って食べるしかないなどあまりにもひどかった」「ぐんまちゃん登場で、大人たちのカメラが前に陣取り、子どもたちと親子の写真が撮れない現状」「来ていたお客さんが子どもを遊ばせるために寄った方も多かったが、特に子ども食堂を知りたい、知るきっかけになった方がどれくらいいたのか疑問に思った」「イベントの費用対効果があったのだろうか」「子ども食堂の目的は何ですかとの質問が1人からだけ聞かれたが他は皆無だった」。

今後の課題

 上記の西毛地域フェアの内容で、果たしてどれだけ「フェア」開催の趣旨にこたえられたか。実行委員の一員として忸怩たる思いに苛まれます。6か月(6月14日に県から開催趣旨を伺う)に及ぶ準備期間がありながら、実行委員会が組織されて3回の会議が開かれましたが、その時には思いもつかなかった様々な課題が、フェア当日になっても私の頭の中をよぎりましたが、会場での元気に遊ぶ子供たちの歓声を聞くことで、何とか気持ちを整えることができたことを思い出します。しかし今なお、ああすれば良かった、こうするべきであったかの後悔が残ります。

①一回限りの「フェア」で終わらせない持続的な内容になっていたか。
②展示内容について、子ども食堂の実態を伝えきることができたのかどうか。
③「フェア」開催の趣旨を活かすための日時と会場の選択に問題はなかったのか。
④実行委員会の運営方法に問題はなかったか。

最後に

 このフェアは県が国の子ども支援関連の予算を「引っ張って」予算総額300万円をかけての事業であることを風の便りで聞いていたので、委託された事業者(実行委員会)はコストパフォーマンス意識を、最大限までに高めなければならないが、その点で我ら実行委員会の意識は若干残念な水準にとどまっていたのではないかと猛省している。
 このフェアが、一回限りで終わるのであれば、総額300万円(各地域に100万円)の責任は果たせたとは到底言えないが、もし、今後、西毛地域の子ども食堂でフェアの2回、3回と継続していくことができるならば、まだ「税金の無駄使い」とのそしりを免れるチャンスは残されている。責任ある大人として、子どもたちの未来を確かなものにしなければなりません。そのきっかけになるフェアでありたい。


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