パートナー通信 No.59
地域の活動報告―② 『国の新しい子育て支援制度の狙いってなに?』
邑楽・館林子育てネットのとりくみ守隨 吾朗
邑楽・館林地域でさまざまな活動を続けている「邑楽・館林子育てネット」の活動報告をお願いしたところ、地域の学童保育の指導者研修会の開催(10/10)を紹介されました。
事務局(加藤)が、「子育てネット」の守隨さん、針谷さん、田辺さんと一緒に研修会に参加しました。守隨さんに、「地域の課題や研修会の報告」をまとめていただきました。
1 ネットのこの間の取り組みは・・・?
『学童』問題から『子育て支援制度』問題へ
先ずは、館林の「学童保育指導者会議」(10/10)を中心に「邑楽・館林子育てネット」の活動を報告します。
前史は省くとして「子育てネット」を設立したのは2011年1月、設立の趣意書は「子どもの権利条約3条の趣旨」で結ばれています。そして、この11月には第30回の例会を行い、正式な会報は26号です。
その中の、いま地域で切実な課題を抱えている一番大切な事として「学童問題」を取り上げたのが昨年5月です。爾来、学習会・アンケート・学童訪問、併せて文科省の「放課後支援制度を学ぶ会」等に取り組む中で、先回は『国の子育て支援制度って何ですか』(子育て支援政策のねらいと地域の課題)をテーマに、長野大学教授・川島良雄氏をお招きしました。
この学習会を通して、学童問題は「学童」だけの問題ではない、国の改革は保育園にも幼稚園にも、ゼロ歳から学童期すべてに及んでいる、ですから学童だけでの取り組みでは解決できない事を学びました。
安倍政権の狙いが明らかになるにつれて、会としては「保育園・幼稚園」などの「子育て3条例」で全自治体に設置義務化された「子ども子育て会議」や市議会の条例審議傍聴などを重ねてきました。 そんな中で、館林の学童の指導者の皆さんの自発的な定例の学習会が10月10日に開かれるというので、参加させていただくことになったのです。
2 館林の放課後支援の組織について
現在、放課後の子ども支援の組織は16の「学童」(内13学童が民営から公設民営に移行、2学童が民営、1学童がNPO)です。そして新しく文科省の「放課後支援」組織が1つあります。(これ以外の学習塾、スイミング、スポーツクラブ、各種の習い事組織など、子どもに関わるさまざまな組織も本来私たちの視野に入れて行かなければ、本当の「放課後支援」にはなりません。そして学校教育との連携も必須の課題です。)
3 学童指導員研修会の中で
前述したとおり、これは官制ではなく、指導員さん自身の自主的な会です。残念ながら館林には親の会:保護者の連絡会はありません。行政の主導する全市を網羅する会も行政的に必要な時にしか開かれません。また、組合として地域・県につながる方も少数です。だからこそこの指導員さん自身による会は、大切な会なのです。
司会は当番学童の指導員さん、髭の見るからに頼もしい青年。会はこの夏休みから今日までの経験交流。それぞれ独自の企画と共に、館林向井宇宙館や太田子ども園への出張企画を生かしたり…大変だけれど楽しい企画が報告され、「館林の放課後の子どもの生活」が指導員さんの努力でより豊かにされていることを感じます。
また、「台風の日」の対応が、「太田・桐生では学校に準じて休みと決まっているのに、館林では逆に学校が休みだから学童に…」という問題など、共に話し合って、また行政とも調整しなければならない問題などがだされます。
10日は、突然の飛入り参加でしたが、私たち子育てネットから安倍内閣の「教育」改革全体像の中での学童の問題を。ももの木保育園の園長・田辺さんから「子育て3条例」の中の保育改革と学童問題なのだから一緒にやりましょうという呼びかけを。加藤事務局長からは新作の「子どものけんりカルタ」の紹介と子どもにとって最善の環境を作ることが権利委員会の仕事だというつながりを。そして、子育てネットの針谷さんから何よりも行政をいかに動かすか、その力をいかに持つかが大切と、かつての議員の経験からの視点を提起してくれました。
最後に私から、「子ども子育て会議で、ここにも参加しているある学童の理事長さんから、"館林の学童は定員をオーバーしている。来年度は放課後支援教室の取り組みを強化しなくては"…と2回も発言がありましたよ」と付け加えると、皆さん本当に真剣になりました。
「このままでは企業の参入も図られ、館林の子どもは東京の企業に丸ごと持って行かれるかもしれないという現実が目の前にあること…情報をいかに正しく伝えるかが大切だとつくづく思いました。そしてそれを共有することで初めて共闘が生まれる…館林の「子ども子育ての取り組み」は今やっと共同化への歩みを始めたばかりです。