パートナー通信 No.88

世話人会だより長寿命放射性元素体内取り込み症候群加藤 彰男

 「子どもの権利に関する県内自治体アンケート」の分析・まとめ作業で「東電福島第一原発事故による放射線被曝に関する項目」を担当しました。放射線に関しては分からないことも多く、ぐんま教育文化フォーラム「原発と自然エネルギー研究部会」の皆さんにお願いしていろいろなお話を伺うことができました。

 その時にお借りした北海道がんセンター名誉院長・西尾正道氏著『被曝インフォデミック』(寿郎社)の内容から、正直言って薄れかけていた放射線被曝の問題への意識を呼び覚まされました。「インフォデミック」とはWHOによる造語で「偽情報の拡散」を意味するそうです。

 皆さんご承知のように、東日本大震災・原発事故から11年となる現在でも、事故直後に出された「原子力緊急事態宣言」の下にあるのです。西尾氏によると、原子力安全基盤機構検査員を5年間勤めた藤原節男氏の説を紹介して、福島第一原発の1号機は水素爆発でしたが、3号機は「核爆発」であったというのです。その根拠は、研究者による2011年の調査で、核爆発以外では生じない「真球」のセシウム微小粒子が大気中に浮遊していたということです。群馬県も事故直後にプルームによって運ばれた放射性元素に汚染されています。その当時は放射線測定値も高く、どちらかと言うと「外部被曝」への心配が強かったのですが、放射性微粒子を体内に取り込んだことで生じる「内部被曝」への心配を再確認しました。低線量であっても放射性微粒子はその周りにある細胞に影響を与え続けます。細胞の分裂準備期や分裂期は放射線感受性が高いそうです。もし遺伝子が損傷を受ければそれは継代的に引き継がれて影響が出てくる可能性があるということです。

 自治体アンケートの結果を見ると、様々な食品や水道水、学校給食などの放射線測定は現在も行われていますが、空間線量測定や地表面などの測定の頻度が下げられたり、中止を予定しているところもあり不安を感じています。正確な測定とデータを積み上げていくことが将来にわたっての安心につながると思います。

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