パートナー通信 No.91

シリーズ「『第4・5回最終所見』を読み解く」I.特別措置  加藤彰男

I 特別保護措置

 ここでは大きく分けて4つの項目、すなわち『難民・移民の子ども』『子どもの売買・子どもポルノ等』『少年司法運営』『武力紛争下の子どもと自衛隊』に関しての「日本政府への勧告」となっているので、これらすべてに触れる紙面が無い。今回は『子どもの売買・子どもポルノ等』に関する事項に限定して報告したい。先ずは以下の「勧告文」を読めば日本の現状が理解できるであろう。

売買、取引および誘拐

  1. (a) 子どもの人身取引の行為者を訴追するための努力を強化し、子どもの人身取引に関わる犯罪に対する罰則を強化し、罰金を選択刑とすることをやめること。
  2. (b) 人身取引の被害者となった子どもが適切に発見され、種々のサービスに委託されるようにするため、被疑者選別を強化すること。
  3. (c) シェルターならびに身体的、精神的回復およびリハビリテーションのための子どもにやさしい包括的な援助を含む、人身取引の被害者となった子どもへの専門的ケアおよび支援のための資源を増やすこと。

◎子どもの売買、子ども売春、および子どもポルノに関する選択議定書に関する本員会の前回最終所見および勧告のフォローアップ

  1. (a) 子どももしくはほぼ子どもに見えるように描かれた者が明白に性行為を行っているイメージおよび描写、または、性的目的のための子どもの性的部位の描写を作成、配布、普及、提供、販売、アクセス、閲覧および所持することを犯罪化すること。
  2. (b) 「女子高生サービス」および子どもエロティカなどのように、子どもの売春および子どもの性的搾取を助長し、または、これらにつながる商業的活動を喫しすること。
  3. (c) 行為者に責任を果たさせ、被害者となった子どもを救済するために、オンライン(インターネット)およびオフライン(実店舗)での子どもの売買、子ども売春、および子どもポルノに関わる犯罪を捜査、訴追し、制裁を加えるための努力を強化すること。
  4. (d) 性的虐待および性的搾取の被害者となった子どもに焦点を合わせた質の高い統合されたケアおよび支援を提供するために、ワンストップ危機対応センター(駆け込み拠点)への資金提供と援助を増やし続けること。 (e)児童・生徒、親、教師およびケア提供者を対象として、新しい技術に伴うリスク、および安全なインターネットの利用の仕方についてのキャンペーンを含む意識喚起プログラムを強化すること。
  5. (f) 子どもの売買、子ども売春および子どもポルノに関する特別報告者の勧告(A/HRC/31/58/Add.1, para74)を実施すること。

 今回の勧告の「子どもに対する暴力(パラ24)」や「生命の誕生に関わる健康およびメンタルヘルス(パラ35)」などと合わせて読むと、日本の子どもの性の危機的状況は①性暴力②性的いじめ、性的少数者への差別③無防備な性の3つに整理できる〈国連子どもの権利条約と日本の子ども期』(市民・NGOの会編)より〉。ここでは詳述できないがその背景には、性に関する否定的・消費的イメージや不平等なジェンダー(性役割)の内面化があると言えよう。子どもとおとな両方を対象にジェンダー平等を普及し、権利としての包括的性教育の学びをとりわけ義務教育段階から実施していくことが求められていると言える。


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